本社からの無茶な指示に現場は疲弊し、管理職は続々と鬱で休職、あるいは退職。
現場と本社の信頼関係はゼロに等しく、現場が本音を言えない・現場に本音を言わせない最悪の雰囲気。
ばかげた伝統やルール、タブーがイノベーションを阻み、新サービスは40年間成功ゼロ。
.そんな會社があるなんて、信じられるだろうか?
これが、企業再生を専門とするプライベート・エクイティ・ファンドから、いちマネジャーとして僕が送り込まれた當初の、ミスターミニットの慘狀だった。
しかし、わずか3年足らずで會社は変わった。
新サービスが次々に生まれ、過去20年で最高の業績を殘しV字回復を果たした。
かつて會社を去った社員が「いまなら楽しく働けるから戻ってこい!」という現役社員からの呼びかけに応じ、50人以上も戻ってきてくれた。
なにより、やる気に満ちた社員が「変化すること」を楽しみ、自分からビジョンの達成に向けて邁進するようになった。
なぜ、ミスターミニットは生まれ変われることができたのか?
そんな質問を、社長としてこれまで數えきれないほど受けてきた。
革新的な戦略を打ち出した?
カリスマ的なリーダーシップで會社を引っ張った?
外資系からエリートを大量に採用した?
いや、どれも違う。
僕はひたすら、會社のすべてを現場中心につくりなおしてきた。この會社が変われたのは、現場のおかげだ。
そして、すべての會社は現場次第で変わることができると僕は信じている。
ミスターミニットのようなBtoCの店舗ビジネスでは、わかりやすい「現場」がある。
けれども、BtoBビジネスの場合は、稼いでくる営業が「現場」だろうし、クリエイティブワークでも製作の「現場」がある。
僕の知る限り、ほとんどの會社に「現場」と呼べる場は存在する。
そしてどんな業種でも、會社の命運を握るのはいつも「現場」なのだ。