憩室炎は、特に先進國において一般的によくみられる胃腸の疾患です。アメリカ合眾國だけでも、憩室炎および憩室症により入院した患者の數は、一日の全入院患者數約150萬人中、32.1萬人にものぼります。
患者數が年々増加している憩室症ですが、実は健康的な生活習慣を身につけることによって、確実に予防できる疾患です。ここでは、憩室炎を予防したり病気進行を抑制するために日常生活でできることは何か、という點にフォーカスして解説します。
憩室炎とは?
大腸は、とてもデリケートな臓器です。腸のはたらきが弱くなったり、便秘が続いたり排便時に力み過ぎて大腸に過度の圧力がかかったりすると、大腸の壁の黏膜に小さな袋狀のふくらみができることがあり、これを大腸憩室と呼びます。また、この狀態を憩室症といいます。通常、憩室症であっても炎症が起きるまでは痛み、その他の自覚症狀がありません。病気が進行して炎症を起こすと、憩室炎(憩室の炎症)に移行します。憩室炎になると、腹部の痛み、はり、下痢、便秘、吐き気、嘔吐などの症狀が現れます。
憩室炎になりやすいのは?
他の病気と同じように、憩室炎にも、この病気になりやすい人(ハイリスクな人)がいます。それは、次にあげる項目に當てはまる人です。
○40歳以上
○肥満、あるいは餘分な內臓脂肪(內臓のまわりにつく脂肪)が多い方
○健康的な生活習慣や食事習慣が身についていない方
○遺伝的にこの疾患にかかりやすい方
またある研究では、薬物の使用や慢性的な炎症、あるいは腸內環境の不調なども、憩室炎の要因になることが指摘されています。もし上記の項目が一つでも當てはまる場合には、十分気をつけて、リスクを減らすよう努めることをおすすめします。
リスクを減らす方法は?
まずは健康的な生活スタイルを保つことです。當たり前ですが、食事習慣が亂れている人、BMIが高い人、不健康な生活習慣をもつ人は、明らかに憩室炎にかかりやすいのです。大腸壁を健康に保つため、また排便時の腹圧が高くなるのを避けるために、下記のような生活習慣の改善を推奨しています。特に40歳以上の方や、憩室炎の遺伝傾向をもつ方には、ぜひ留意してもらいたい內容です。
1)食物繊維の豊富な食事を
一日25グラム以上の食物繊維(全粒穀物などの水溶性食物繊維と、果物や野菜などの不溶性食物繊維を含む)を取るようにしましょう。食物繊維は便秘を解消します。スムーズな便通は健康な腸の証です。
2)適度な水分補給
毎日、少なくとも8杯(1杯250ml)の水を飲みましょう。砂糖の入っていない紅茶や飲み物でも結構です。水分をとることにより、便の量が増え、便通がスムーズになり、腸が健康になります。
3)禁菸する
吃煙が憩室炎や憩室症のリスクを高めることが研究で明らかになっています。禁菸すべき理由のひとつとしてぜひ考慮してください。
4)運動をする
運動は腸を刺激し、便秘を軽減します。國際ガイドラインは、1週間に少なくとも5日、30分以上の運動をすることを推奨しています。
5)プロバイオティクスとプレバイオティクスをたくさん摂取する
消化を助けるために、プロバイオティクス(共生細菌)やプレバイオティクス(共生細菌の増殖を促す食物)を多く含む食事を心がけましょう。もし食事でこれらを十分に摂取するのが難しければ、サプリメントをとっても良いでしょう。
6)トイレの時間を短くする
トイレの中での読書やスマートフォンゲームをやめましょう。
トイレに座っている間に排便に集中すれば、そのプロセスはより早く、効果的なものになります。
もし便意が無い場合には、無理に力んで出すのはやめましょう。3日以上便意が無い場合には、お薬を使ったほうが良いかもしれません。
7)定期的に検診を受ける
あなたがハイリスク群に當てはまる場合であっても、そうでなくても、胃腸の検査を定期的にされることをおすすめします。リスクが低い方でも10年に一度、ハイリスクの方は1~5年に一度の感覚で胃腸の定期検査を受けてください。
8)気をつけたい食べ物
もし、あなたが既に憩室症を患っていて、この憩室症を憩室炎に進行させたくないのであれば、粒狀の食べ物、つまりナッツや種子類、とうもろこし、ポップコーンなどの摂取を控えてください。これらの食べ物は、憩室に詰まって憩室炎を引き起こす可能性があります。
栄養顧問 張琳 (Lynn Zhang)
アメリカ、カリフォルニア州立大學分校で栄養士の資格を取得。オハイオ大學で修士號を取得後、アメリカの複數の病院で経験を積んだ。豊富な知識を生かし、流暢な英語/中國語で栄養指導を行うことができ、患者さんの信頼も厚い。
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