人の仕事場、つまりはモノが生まれる場所を見ることはとても楽しい。今回は3冊の仕事場に関する本を紹介します。
『Where They Create』はタイトル通り、クリエーターのアトリエやスタジオを取材した本です。オーストラリア人フォトグラファーのポール・バルベーラが2009年にはじめた同名のブログが元になっています。
Acne StudioやOpening Ceremonyなどのファッションブランドや、Fantastic ManやWallpaper*などの出版社、アーティストなど32人の仕事場を取材しています。
何よりも魅力的なのは、露出が低く、粒子が粗い寫真。彼らの働いている空気の濃度が直接伝わってくるかのようです。彼自身が語っているように自然光で「as is(そのまま)」が映し出されています。どのような椅子に座って、どのような物に囲まれて製作しているのかを知ると、彼らが何からインスピレーションを得ているのかをうかがい知ることができます。
また、インタビューも掲載されており、「どのような仕事か」「どれくらいの大きさか」「仕事場の中で一番好きな場所はどこか」「ペットはいるか」「植物はあるのか」などの質問に対する答えも、それぞれ彼らの仕事ぶりを表していて興味深いです。
日本のクリエーターの働き方を再発見『Where They Create JAPAN』5年後に発売された『Where They Create JAPAN』では、前著の體裁はそのままに、アートディレクターの長嶋りかこさんからはじまり、アーティストの名和晃平さん、デザイナーの吉岡徳仁さん、トラフ設計事務所に至るまで、日本の一線を走る32人の仕事場が紹介されています。ポール・バルベーラという海外の視點から見た世界から、日本のクリエーターの働き方、特異性が再発見できます。
空間を佔拠してしまう本を精密に紹介『センセイの書斎』
たくさんの資料本を駆使して文章を書く作家や研究者を中心とした「センセイ」たちの仕事場、つまり書斎を精密なスケッチとともに紹介。本に囲まれた俯瞰(ふかん)図のまわりには本棚にあるタイトルがおびただしく並べられ見るものを圧倒します。
仕事柄空間を佔拠してしまう本に対して、彼らがそれぞれどのように付き合っているのかは、同じく本のある「仕事場」の私にとっても、「この本の隣にこの本が置いてあるのか」といった小さな感動でいっぱいでした。
仕事場も、そこにある本棚も、人の頭の中をのぞき見るようです。彼らの頭の中をこっそりと、のぞき見ませんか?