マッチ売りの少女
作者:安徒生
譯者:[日]大久保優
本作品發表於1846年
後記
日語版《賣火柴的小女孩》於7月15日起在本公眾號不定期更新,至9月4日全部更新完成,共計更新4期正文和語法解說。本期謹以日語全文+日語音頻和語法全匯總的形式加以整理。
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音源:亀子
それは、ひどく寒さむいおおみそかの夜よるのことでした。あたりはもうまっくらで、こんこんと雪ゆきが降ふっていました。寒さむい夜よるの中なか、みすぼらしい一人ひとりの少しょう女じょが歩あるいていました。ぼうしもかぶらず、はだしでしたが、どこへ行いくというわけでもありません。
那是一個非常寒冷的除夕夜。天色已經完全暗了下來,雪花一片一片地飄落下來。在這個寒冷的夜裡,一個小女孩在路上走著。她穿著破舊的衣服,沒有戴帽子,還光著腳,但是並不是要去哪裡。
行いくあてがないのです。ほんとうは家いえを出でるときに一足いっそくの木きぐつをはいていました。でも、サイズが大おおきくぶかぶかで、役やくに立たちませんでした。実じつはお母かあさんのものだったので無む理りもありません。
她沒有要去的地方。其實,她從家裡出來的時候,腳上還穿了一雙木鞋。但是,這雙鞋是大號的,對她來說又肥又大,並沒有什麼用。實際上,這雙鞋是她媽媽的,所以她穿上當然不合適。
道どう路ろをわたるときに、二臺にだいの馬ば車しゃがとんでもない速はやさで走はしってきたのです。少しょう女じょは馬ば車しゃをよけようとして、木きぐつをなくしてしまいました。木きぐつの片かた方ほうは見みつかりませんでした。もう片かた方ほうは若わか者ものがすばやくひろって、「子こ供どもができたときに、ゆりかごの代かわりになる。」と言いって、持もちさってしまいました。
小女孩過馬路的時候,兩輛馬車飛快地駛了過來。她忙著躲馬車,不小心把木鞋弄丟了。其中一隻鞋子她沒有找到,而另一隻鞋子則被一個年輕人撿起來並帶走了。年輕人說道,「有了孩子以後,可以拿它當搖籃。」
だから少しょう女じょはその小ちいさなあんよに何なにもはかないままでした。あんよは寒さむさのために赤あかくはれて、青あおじんでいます。少しょう女じょの古ふるびたエプロンの中なかにはたくさんのマッチが入はいっています。手ての中なかにも一ひと箱はこ持もっていました。一いち日にち中じゅう売うり歩あるいても、買かってくれる人ひとも、一いち枚まいの銅貨どうかすらくれる人ひともいませんでした。
所以,她小小的腳丫上,什麼都沒有穿。她的腳被凍得紅腫,甚至有些發青。小女孩破舊的圍裙裡裝了很多火柴。她手上還拿著一盒火柴。她走著賣了一整天,但是既沒有人來買她的火柴,也沒有人肯給她哪怕是一枚銅幣。
少しょう女じょはおなかがへりました。寒さむさにぶるぶるふるえながらゆっくり歩あるいていました。それはみすぼらしいと言いうよりも、あわれでした。少しょう女じょの肩かたでカールしている長ながい金きん色いろのかみの毛けに、雪ゆきのかけらがぴゅうぴゅうと降ふりかかっていました。でも、少しょう女じょはそんなことに気き付づいていませんでした。
小女孩的肚子餓了。她冷得直顫抖,一邊顫抖一邊慢慢地走著。這副情景讓人覺得寒酸,更讓人覺得悽慘。雪花一片一片地飄落在小女孩及肩的金色長髮上。但是,小女兒絲毫都沒有注意到。
どの家いえのまども明あかりがあかあかとついていて、おなかがグゥとなりそうなガチョウの丸まる焼やきのにおいがします。そっか、今日きょうはおおみそかなんだ、と少しょう女じょは思おもいました。一つの家いえがとなりの家いえよりも通とおりに出ていて、影かげになっている場ば所しょがありました。地じべたに少しょう女じょはぐったりと座すわりこんで、身みをちぢめて丸まるくなりました。小ちいさなあんよをぎゅっと引ひきよせましたが、寒さむさをしのぐことはできません。
每家每戶的窗內都燈火通明,裡面傳出一陣陣烤鴨的香氣,直教人感到肚子咕咕叫。對了,今天是除夕!小女孩想到。有一戶人家,房子比其他戶多凸出了一些,形成了一處角落。小女孩無力地坐在角落裡,把身子蜷了起來。雖然她已經把小腳丫縮到了跟前,但是仍然無法抵禦寒氣。
少しょう女じょには、家いえに帰かえる勇ゆう気きはありませんでした。なぜなら、マッチが一ひと箱はこも売うれていないので、一いち枚まいの銅どう貨かさえ家いえに持もち帰かえることができないのですから。するとお父とうさんはぜったいほっぺをぶつにちがいありません。ここも家いえも寒さむいのには変かわりないのです、あそこは屋根やねがあるだけ。その屋根やねだって、大おおきな穴あながあいていて、すきま風かぜをわらとぼろ布ぶでふさいであるだけ。小ちいさな少しょう女じょの手ては今いまにもこごえそうでした。
小女孩沒有勇氣回家。她連一盒火柴都沒有賣出去,連一枚銅幣都帶不回家,所以爸爸肯定會扇自己耳光。不管是這兒,還是家裡,都是一樣的冷。家裡就只是有個房頂罷了。況且家裡的那個房頂,還漏著一個大洞,就只用稻草和破布堵了一下,只可擋一擋賊風。小女孩的手就要凍僵了!
そうです!マッチの火ひが役やくに立たつかもしれません。マッチを箱はこから取とり出だして、カベでこすれば手てがあたたまるかもしれません。少しょう女じょは一いっ本ぽんマッチを取とり出だしてーー「シュッ!」と、こすると、マッチがメラメラもえだしました! あたたかくて、明あかるくて、小ちいさなロウソクみたいに少しょう女じょの手ての中なかでもえるのです。本ほん當とうにふしぎな火ひでした。まるで、大おおきな鉄てつのだるまストーブの前まえにいるみたいでした、いえ、本ほん當とうにいたのです。
對了!火柴的火苗興許有用。只要從火柴盒裡取出火柴,然後在牆上劃一下,說不定就可以暖手了。小女孩取出了一根火柴——「哧~」地劃了一下,火苗閃爍著,劃著了!它暖暖的、亮亮的,就像一支小蠟燭,在小女孩的手裡燃燒著。這火苗真是神奇。她感到自己就像坐在一個大大的不倒翁式鐵製暖爐前一樣。不,是真的在暖爐前。
目めの前まえにはぴかぴかの金屬きんぞくの足あしとふたのついた、だるまストーブがあるのです。とてもあたたかい火ひがすぐ近ちかくにあるのです。少しょう女じょはもっとあたたまろうと、だるまストーブの方ほうへ足あしをのばしました。と、そのとき! マッチの火ひは消きえて、だるまストーブもパッとなくなってしまい、手ての中なかに殘のこったのはマッチのもえかすだけでした。
眼前出現了一個不倒翁式暖爐,它有著閃亮的金屬爐腳,還帶著蓋兒。暖暖的火光就在眼前。小女孩把腳伸向暖爐,想更加暖和一些。結果,就在這時,火苗消失了!暖爐也啪地一下消失了!小女孩的手裡,就只剩下燃燒後的火柴梗。
少女しょうじょはべつのマッチをかべでこすりました。すると、火ひはいきおいよくもえだしました。光ひかりがとてもまぶしくて、かべがヴェールのようにすき通とおったかと思おもうと、いつのまにか部屋へやの中なかにいました。テーブルには雪ゆきのように白しろいテーブルクロスがかかっていて、上うえにごうかな銀ぎん食器しょっき、ガチョウの丸焼まるやきがのっていました。ガチョウの丸焼まるやきにはリンゴとかんそうモモのつめ物ものがしてあって、湯気ゆげが立たっていてとてもおいしそうでした。
小女孩又在牆上劃了一根火柴。不大一會兒,火苗竄了起來,火柴開始燃燒。火光耀眼,照亮了四周,牆壁像是透明的薄紗一樣,忽然間,小女孩已經置身於一間屋子裡了。桌子上鋪著雪白的桌布,上面放著豪華的銀餐具和一隻烤鵝。這隻烤鵝的肚子裡塞滿了蘋果和梅子,冒著熱騰騰的香氣,看上去美味極了。
しかし、ふしぎなことにそのガチョウが胸むねにナイフとフォークがささったまま、お皿さらから飛とびおりて、ゆかをよちよち歩あるき出だし、少女しょうじょの方ほうへ向むかってきました。そのとき、またマッチが消きえてしまいました。よく見みると少女しょうじょの前まえには、冷つめたくしめったぶ厚あついかべしかありませんでした。
但是,非常不可思議的是,那隻烤鵝從盤子裡跳了下來,胸口還插著刀叉。它搖搖晃晃地朝著小女孩走了過來。這時,火苗又消失了。仔細一看,小女孩的面前就只有一堵又冰冷又潮溼的厚牆壁。
少女しょうじょはもう一ひとつマッチをすると、今度こんどはあっというまもありませんでした。少女しょうじょはきれいなクリスマスツリーの下したに座すわっていたのです。ツリーはとても大おおきく、きれいにかざられていました。それは、少女しょうじょがガラス戸とごしに見みてきた、どんなお金持かねもちの家いえのツリーよりもきれいでごうかでした。ショーウィンドウの中なかにあるあざやかな絵えみたいに、ツリーのまわりの何なん千本せんぼんもの細長ほそながいロウソクが、少女しょうじょの頭あたまの上うえできらきらしていました。少女しょうじょが手てをのばそうとすると、マッチはふっと消きえてしまいました。
小女孩又劃了一根火柴,這次,火柴很快燃燒了起來。小女孩坐在了一棵漂亮的聖誕樹下。聖誕樹很大,裝飾得很美麗。這棵聖誕樹比小女孩隔著窗子看到的任何一戶有錢人家的聖誕樹都要漂亮、豪華。就像櫥窗裡明亮的畫一樣,聖誕樹周圍上千支又細又長的蠟燭在小女孩的頭頂上閃爍著。小女孩正要伸出手時,火苗噗地一下消失了。
たくさんあったクリスマスのロウソクはみんな、ぐんぐん空そらにのぼっていって、夜空よぞらにちりばめた星ほしたちと見分みわけがつかなくなってしまいました。そのとき少女しょうじょは一ひとすじの流ながれ星ぼしを見みつけました。すぅっと黃色きいろい線せんをえがいています。「だれかが死しぬんだ···」と、少女しょうじょは思おもいました。なぜなら、おばあさんが流ながれ星ぼしを見みるといつもこう言いったからです。人ひとが死しぬと、流ながれ星ぼしが落おちて命いのちが神かみさまのところへ行いく、と言いっていました。でも、そのなつかしいおばあさんはもういません。少女しょうじょを愛あいしてくれたたった一人ひとりの人ひとはもう死しんでいないのです。
剛剛的很多聖誕節蠟燭全都飛向天空,漸漸地與點綴在夜空裡的星星們匯聚在了一起,讓人無法分辨。這時,小女孩看到了一顆流星。它在天空中嘶地劃了一條黃色的線。「有誰要死去了···」小女孩心想。每次一看到流星划過天空,奶奶就會這樣說。奶奶說,一旦有人去世,流星就會隕落,而靈魂會去往神仙居住的地方。但是,令人懷念的奶奶已經不在了。唯一愛著小女孩的人已經死去,不在人世了。
少女(しょうじょ)はもう一度(いちど)マッチをすりました。少女(しょうじょ)のまわりを光(ひかり)がつつみこんでいきます。前(まえ)を見(み)ると、光(ひかり)の中(なか)におばあさんが立(た)っていました。明(あか)るくて、本當(ほんとう)にそこにいるみたいでした。むかしと同(おな)じように、おばあさんはおだやかにやさしく笑(わら)っていました。「おばあちゃん!」と、少女(しょうじょ)は大聲(おおごえ)を上(あ)げました。
小女孩又劃著了一根火柴,火苗把她的周圍都照亮了。她抬起頭一看,奶奶就站在火光之中。周圍一片明亮,奶奶就像真的在那裡一樣。奶奶跟以前一樣,和藹地、溫柔地笑著。「奶奶!」小女孩大聲喊道。
「ねぇ、わたしをいっしょに連(つ)れてってくれるの? でも···マッチがもえつきたら、おばあちゃんもどこかへ行(い)っちゃうんでしょ。あったかいストーブや、ガチョウの丸焼(まるや)き、大(おお)きくてきれいなクリスマスツリーみたいに、パッと消(き)えちゃうんでしょ···」少女(しょうじょ)はマッチの束(たば)を全部(ぜんぶ)だして、殘(のこ)らずマッチに火(ひ)をつけました。そうしないとおばあさんが消(き)えてしまうからです。
「奶奶,您是來帶我一起走的吧?可是···一旦火苗熄滅,您也會去別的地方,會跟暖和的爐子、烤鵝,還有又大又漂亮的聖誕樹一樣,啪地一下消失的吧···」小女孩把火柴全都拿出來,一根不剩地劃著了。因為,如果不這樣做,奶奶就會消失。
マッチの光(ひかり)は真晝(まひる)の太陽(たいよう)よりも明(あか)るくなりました。赤(あか)々(々)ともえました。明(あか)るくなっても、おばあさんはいつもと同(おな)じでした。昔(むかし)みたいに少女(しょうじょ)をうでの中(なか)に抱(だ)きしめました。そして二人(ふたり)はふわっとうかび上(あ)がって、空(そら)の向(む)こうの、ずっと遠(とお)いところにある光(ひかり)の中(なか)の方(ほう)へ、高(たか)く高(たか)くのぼっていきました。そこには寒(さむ)さもはらぺこも痛(いた)みもありません。なぜなら、神(かみ)さまがいるのですから。
火苗照得四周亮堂堂的,比正午的太陽還要亮,火柴紅紅地燃燒著。雖然周圍亮堂堂的,但是奶奶還是跟往常一樣。奶奶像以前那樣把小女孩抱在懷裡,兩人向上飄去。她們朝著遙遠的天空中閃爍著的光輝飄去,越飄越高。那裡沒有寒冷,沒有飢餓,也沒有疼痛。因為,那裡是神仙居住的地方。
朝(あさ)になると、みすぼらしい服(ふく)を著(き)た少女(しょうじょ)がかべによりかかって、動(うご)かなくなっていました。ほほは青(あお)ざめていましたが、口(くち)もとは笑(わら)っていました。おおみそかの日(ひ)に、少女(しょうじょ)は寒(さむ)さのため死(し)んでしまったのです。今日(きょう)は一月(いちがつ)一(つい)日(たち)、一(いち)年(ねん)の一番(いちばん)初(はじ)めの太陽(たいよう)が、一體(いったい)の小(ちい)さななきがらを照(て)らしていました。
天亮了,穿著破舊衣服的小女孩倚在牆壁上,一動也不動了。她臉頰蒼白,嘴角帶著微笑。小女孩已經去世了,她凍死在了除夕夜。今天是大年初一,新一年的太陽升起了,照在她小小的身軀上。
少女(しょうじょ)は座(すわ)ったまま、死(し)んでかたくなっていて、その手(て)の中(なか)に、マッチのもえかすの束(たば)がにぎりしめられていました。「この子(こ)は自分(じぶん)をあたためようとしたんだ···」と、人々(ひとびと)は言(い)いました。でも、少女(しょうじょ)がマッチでふしぎできれいなものを見(み)たことも、おばあさんといっしょに新(あたら)しい年(とし)をお祝(いわ)いしに行(い)ったことも、だれも知(し)らないのです。だれも···
また、新(あたら)しい一(いち)年(ねん)が始(はじ)まりました。
小女孩蜷縮在牆角裡死掉了,身體已經僵硬,手中還緊握著火柴梗。「她是想取取暖啊···」大家紛紛說。但是,沒有人知道小女孩曾經藉助火柴見到了神奇而美麗的東西,也沒有人知道小女孩曾經與奶奶一起慶祝了新年,沒有人···
新的一年,又開始了。
分期回顧(內含單詞解釋)
《賣火柴的小女孩·Ⅰ》| 「她小小的腳丫上,什麼都沒有穿」
《賣火柴的小女孩·Ⅱ》| 「小女孩沒有勇氣回家。因為她連一盒火柴都沒有賣出去···」
《賣火柴的小女孩·Ⅲ》| 「奶奶說,一旦有人去世,流星就會隕落,而靈魂會去往神仙居住的地方」
《賣火柴的小女孩·Ⅳ》| 「新的一年,又開始了」
❤作譯者介紹❤
安徒生:丹麥文學家,1805年生於一個貧窮的鞋匠家庭。他一生共發表150多篇童話,與格林兄弟一起並稱為童話文學的始祖。
大久保優:日本翻譯家,生於1982年。自高中一年級開始在網上發布翻譯作品,現在一邊從事翻譯研究,一邊進行翻譯和寫作。
Hello,我是不正經的道長
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