スイミングに體操たいそう、バレエ、ピアノに英語えいごなど本當にさまざまな習い事があります。子ども自身が「やりたい」と言って始めることから「體と心を鍛きたえさせたい!」「國際こくさい舞臺ぶたいで活躍かつやくする人材じんざいに!」といった親の希望きぼうや願望がんぼうがきっかけになることもあるようです。取材班しゅざいはんは、子どもを持つママ記者3人。何かと気になる「子どもたちの習い事」をテーマに取材しゅざいしてみました。(ネットワーク報道部ほうどうぶ記者野町かずみ飯田いいだ暁子あきこ大窪おおくぼ奈緒子なおこ)
習い事にかける費用ひようは?
取材しゅざいのきっかけになったのは先週公表された「學校外教育活動に関かんする調査ちょうさ2017」という調査ちょうさ結果けっかです。民間みんかんの教育研究所のベネッセ教育総合そうごう研究所が保護者ほごしゃの教育観きょういくかんを探さぐろうと全國の幼児ようじから高校生の子どもを持つ母親を対象たいしょうに行おこなったもので、1萬5000人餘あまりが回答しています。
まずは、気になった結果けっかをいくつかピックアップしてみます。金額きんがくはいずれも1か月あたりの支出額ししゅつがくです。
費用ひようは?
平均へいきんで幼児ようじが6500円、、、だそうです。今も昔も、心と體を鍛きたえたいとスポーツや運動の習い事をする子どもたちは多いようです。
1番人気はスイミング
小學生では、3人に2人近く(63.6%)が定期的ていきてきにスポーツ活動をしていると回答し、最もっとも多かったのがスイミングで小學生では3人に1人(33.6%)に上っています。
年代別ねんだいべつにみると費用ひようのピークは小學3年生で5100円となっています。
記者たちのまわりでも赤ちゃんのころから親子一緒いっしょに遊ぶスイミングスクールに通っている、人気のスクールに通うために何か月もキャンセル待ちしているなどの話も見聞きします。
習い事の支出ししゅつピークは中學3年生
また、塾じゅくなども含ふくめた學校外の活動費かつどうひで支出ししゅつが最もっとも多かったのが2萬5900円の中學3年生でした。やはり高校受験じゅけんを控ひかえていることが大きな要因よういんのようです。
都市部ほど支出ししゅつ多く
今回の調査ちょうさ結果けっかを居住地きょじゅうちの人口規模別きぼべつでみると支出額ししゅつがくが多い傾向けいこうが見られます。5萬人未満にんみまんでは9900円でしたが民間みんかん経営けいえいの塾じゅくやスポーツ施設しせつが多くある政令せいれい指定都市や特別區とくべつくではおよそ1.8倍の1萬7500円となっています。
親の収入しゅうにゅうによる格差かくさも
世帯せたい収入別しゅうにゅうべつでも活動費かつどうひにかける差さが見られ400萬円未満えんみまんでは8000円となっているのに対し年収ねんしゅう800萬円以上えんいじょうの世帯せたいでは2萬5000円と3倍以上ばいいじょうの差さとなっています。収入しゅうにゅうによる教育格差かくさが指摘してきされていることを表すデータの一つと言えそうです。
運動や芸術げいじゅつの習い事よりも學習塾がくしゅうじゅく系けいを重視じゅうしする傾向けいこう
ベネッセ教育総合そうごう研究所では同様の調査ちょうさを4年前の2013年と8年前の2009年にも行っています。それと比較ひかくしてみると母親の「子育て感」の変化へんかが読み取れます。
「運動やスポーツをするよりももっと勉強してほしい」かとの質問しつもんに対して「とてもそう思う」、「まあまあそう思う」の回答の合計は2009年の26.8%から今回2017年は39.4%と13ポイント近く増ふえているのです。
特とくに「幼児ようじ」では14.4%から27.4%と2倍近くに、「小學生」でも24.3%から37.5%と1.5倍に増ふえています。
意識いしきは子どもを持つ親に広がっていることがうかがえます。
背景はいけいに教育改革かいかくが…
學習を重視じゅうしする保護者ほごしゃの意識いしきについて調査ちょうさを行ったベネッセ教育総合そうごう研究所では、2019年度から小學校高學年で英語えいごが正式な教科となることや、2020年度には思考力や判斷力はんだんりょくを問うため、國語や數學の試験しけんに記述式きじゅつしきの問題の導入どうにゅうや、英語えいごのテストでTOEFLなど民間みんかんの検定けんてい試験しけんを使うなど、大學の入試にゅうし改革かいかくがあることが背景はいけいにあると分析ぶんせきしているそうです。取とり巻まく大きな変化へんかを保護者ほごしゃが不安ふあんに思い「勉強シフト!」が始まっているとの見方です。
勉強シフトに専門家せんもんかは警鐘けいしょう
幼児ようじ教育について研究している東京大學大學院総合そうごう文化研究科の開ひらき一夫かずお教授きょうじゅに今回の結果けっかで見えた親の「勉強シフト」について尋たずねてみると調査ちょうさを行った研究所とほぼ同じような感想でした。
入試にゅうし改革かいかくでは、思考力や判斷力はんだんりょくそれに表現力ひょうげんりょくなど、學習塾がくしゅうじゅくだけでは培つちかうのが難むずかしいであろう分野が入試にゅうしに取り入れられる方向で議論ぎろんが進んでいます。それにもかかわらず子どもたちにより勉強をさせたいという傾向けいこうがうかがえる今回の結果けっかにはとても驚おどろいています」
そのうえで開教授きょうじゅは幼少期ようしょうきの習い事については塾じゅくや習い事で主に身につくのは計算が早くなる、字が上手じょうずに書けるようになる、とび箱が跳とべるようになるなど、短期的たんきてきで目に見えてわかりやすい事柄ことがらです。長期的ちょうきてきに見た社會で役立つ能力のうりょくが必かならずしも育はぐくまれているわけではありません。習い事を増ふやすほどに、友人と遊ぶ時間や親と食卓しょくたくを囲かこみながらゆっくりと話す時間が減へっていくことも認識にんしきしたうえでその習い事が本當に必要ひつようか判斷はんだんしてほしいです」と提言ていげんしています。
費用ひようが大きな負擔ふたんに
また、家計の面からも習い事にかける費用ひようをバランスよく考える必要ひつようがあるとの指摘してきもあります。
ベネッセ教育総合そうごう研究所の調査ちょうさでは「教育にお金がかかり過すぎると思う」かとの質問しつもんに対して、「とてもそう思う」「まあまあそう思う」の回答の合計は67.2%に上りました。
いちばんお金がかかるのは大學進學時をお忘わすれなく!
この結果けっかをファイナンシャルプランナーの巖永いわなが真理さんに尋たずねてみると、歳さいごろまでがお金の貯ため時で、私立しりつ大學に行くことも想定して18歳さいまでに400萬円ぐらい用意しておくといいとアドバイスしていますが、幼おさないうちから習いごとをさせているためなかなかお金が貯たまらないというケースも見られます」と言います。巖永いわながさんは教育費きょういくひは削けずりがたいというご家庭が多いですが、給料きゅうりょうが右肩みぎかた上がりではないこの時代、大學に行く頃ころになってお金が足りずに子どもにとって借金しゃっきんともいえる奨學金しょうがくきんに頼たよることになったり大學進學を諦あきらめたりすることになっては本末転倒ほんまつてんとうです。教育費きょういくひも聖域せいいきではなく時には習い事を辭やめるという選択せんたくも必要ひつようではないでしょうか」と話していました。
子どもの將來しょうらいのためには早くから學ばせたい、多少の無理むりをしても習わせたいと思う気持ちはどの親にもあると思います。ただ、わが子にとってどれがいい道なのか、そして家庭に負擔ふたんになりすぎていないのか、ちょっと立ち止まって考えてみるのも必要ひつようなのではないかというのが、取材しゅざいしたママ記者3人の感想でした。
※プログラムでふりがなを付けっているので、間違っている場合もあります。