「心淋(うらさび)し川」で第164回直木賞に輝いた西條奈加さん(56)の受賞會見が20日、東京・內幸町の帝國ホテルで行われた。
「今はただ緊張しています。(受賞の)連絡をいただくまではのんきに構えていたので、今、汗が出てきた感じです」と、まず話した西條さん。
事前に「賞は寶クジのようなもの」と話していた點について聞かれると、「私にとっては遠いものという意味でした。今も戸惑いの方が大きくて、もちろん、うれしいけど、幸せ感より不安の方が大きいです」と苦笑。これからの執筆について、「今後、3、4年先までは幸い仕事をいただいていて、書くものが決まっているんですけど、なんらかの修正とかもしていけたらいいなと思っています」と続けた。
「私はよく『バランスがいい』という評価をされて、それは私の長所でもあり、欠點でもあると思います。(選評で)『欠點がないのが欠點』と評されたのも、自分の中でストンと落ちるものがあります」と真摯(しんし)に答えた西條さんは05年、「金春屋ゴメス」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビュー。15年には「まるまるの毬(いが)」で吉川英治文學新人賞を受賞した。
選考委員の北方謙三さん(73)が「決選投票で、かなり圧倒的な票數で西條さんの作品になりました。欠點がないところが欠點という評があるくらい完成度が高かった」と絶賛した作品を生み出したベテラン作家は最後に新型コロナ禍について「私は家で執筆しているだけなんですが、こういう狀況になって初めて読者の方に読んでいただいて初めて作品は完成するんだと思いました。本當にありがとうございました」と話していた。