中國のウェチャット【ユートピア21】番組「王大夫講中醫」(王先生の中國醫學講座)の王先生が、この非常時における自己防衛と養生について貴重な意見を語ってくれました。
まず,中國醫學的に見ると、今回の新型コロナウイルスは「寒溼性の疫病」です。
新型コロナウイルスによる肺炎の特徴は、気管中の粘液が非常に多い上に粘り気が強く、気道の働きを妨げるため、二次感染や、さらに重いダメージを引き起こすことです。大切なのは、重ね著をするなどして體を溫め、溫かい食べ物を食べること。これは肺を保護し、「寒溼」(漢方用語。寒と溼が結びつき、陽気の運行や血流を妨げる狀態)が肺を傷めることを避ける重要な方法です。
治療のカギは、脾臓と胃の調子を整え、痰と飲(漢方用語。水分代謝異常により體の一部に停滯する希薄な水液)を取り除くことです。脾臓は痰を生じる臓器であり、肺は痰を貯める臓器です。新型コロナウイルスによる肺炎患者の多くは、脾臓と胃の機能が弱く、飲食物の消化が不良であることから、體內に痰と飲を生じ、最終的に痰と飲が肺內の気道を塞いでいます。脾臓と胃の機能が正常に戻り、消化が良くなれば、脾臓と胃は飲食物を栄養に変え、その栄養が肺に送られ、肺を経由して全身を巡るでしょう。
そして、病気に対応するには、心を穏やかにすることも重要です。古代中國の醫學書『黃帝內経』によれば、激烈な感染性疾患でも、心が靜かで穏やかであれば皮膚が引き締まり、病気にも害されないのだそうです。
中國醫學において、「寒」は感染性疾患の最も主要な原因です。新型コロナウイルスによる肺炎は寒溼の疫病なので、中國醫學専門家グループは、患者に対する寒溼の溫化(漢方用語。溫性の生薬で症狀を改善する)を主たる治療計畫に決定しました。今回の新型コロナウイルス流行に対し、中國では中國醫學が重要な役割を果たしました。特に、解熱・浸出液の吸収促進・酸素飽和度の向上・肺の線維化防止に効果を発揮しました。
『黃帝內経』によれば、體が弱くなって心が亂れ、さらに良くない気候に見舞われると病気になるのだそうです。漢方薬以外に大きな治療効果を挙げているのが針灸です。針灸は経絡システムを調え、人體の気血の運行を調えます。人體の気血の運行が正常化し、免疫力が正常化すれば、ウイルスも自然に消える、という原理です。
もうひとつ、正気(せいき。漢方用語。病気に対する抵抗力、免疫力)も健康にとって非常に重要です。心に怯えが生じると気勢が弱まり、生理的にも正気が弱まって病気にかかりやすくなります。精神を自分でコントロールし、外へと消耗しなければ、正気は內に留まり、邪気に影響されることはないでしょう。正気を充足したいならば、ゆったりと落ち著いた心理狀態を保つ必要があります。生活していく中で、良い意味での自己暗示をかけ、精神を過度に外に開放せず、適切に內側に向けていきましょう。