むかしむかし、ある村はずれに、一匹のキツネが住んでいました。
很久很久以前,在一個村子的盡頭,住著一隻狐狸。
とてもずるがしこいキツネで、村人たちをだましては魚やあぶらあげをとっていました。
這隻狐狸非常狡猾,經常騙取村裡的人的魚和油炸豆腐。
中でも一番よくとられるのは、お寺のお坊さんです。
被騙的最多的是住在寺廟裡的和尚。
お坊さんは村の家へお経をあげに行くたびに、もらってくるごちそうをキツネにだましとられていたのです。
和尚每次去給村裡的人送佛經後收到的好吃的東西都會被狐狸騙走。
ある日の事、お坊さんは道ばたで、晝寢をしているキツネを見つけました。
(よし、今日はこっちが、キツネをだましてやろう)
有一天,和尚看見了在路邊睡午覺的狐狸,心想:「正好,今天我也要騙一下你。」
お坊さんは、寢ているキツネの肩をたたいて言いました。
和尚拍了拍狐狸的肩膀,說:
「だんなさん、だんなさん」
「老爺,老爺」
キツネはびっくりして飛び起きると、あわてて金持ちのだんなに化けました。
狐狸被嚇了一跳,猛的跳起來,慌慌張張地變成一個有錢的大老爺。
「だんなさん。こんなところで寢ていると、キツネにだまされますよ。どうです? 二人で料理屋へごちそうを食べに行きませんか?」
「老爺,在這種地方睡覺很容易被狐狸騙的,我們一起去飯店吃好吃的,怎麼樣?」
「ごちそう? そいつはいいですね」
「請我吃飯?你這傢伙可真好人啊。」
キツネは大喜びで、お坊さんと一緒に町の大きな料理屋へ行きました。
狐狸非常高興,跟著和尚到了在街邊的一家很大的飯店。
「さあ、どんどん食べて、じゃんじゃん飲んでくださいよ。いつもお世話になっているお禮に、今日はわたしがごちそうをしますから」
「不要客氣,請盡情吃盡情喝。一直受到你的照顧,作為回禮,今天我請客。」
お坊さんはおいしい料理やお酒をどんどん運ばせて、自分もせっせと食べたり飲んだりしました。
和尚不停地點菜和酒,自己也一個勁地吃菜喝酒。
「いやあ、すまんのう」
「那我就不客氣了。」
だんなに化けたキツネも、お坊さんに負けずと料理を食べてお酒を飲みました。
變成大老爺的狐狸也吃喝起來了,陣勢一點也不輸和尚。
やがて、すっかりお腹が一杯になったお坊さんは、
不久後,吃得飽飽的和尚,說:
「ちょっと失禮して、小便に行ってきます」
「先失陪一下,我要去一下小便。」
と、言って、部屋を出ました。
說完後,和尚就離開了房間。
それから女中さんに、こう言いました。
之後,和尚對店裡的老媽子說:
「わしは、まだこれから行くところがあるので、すまんが大急ぎでおみやげを作っておくれ」
「我待會還有地方要去,雖然很過意不去,但是很急,請給我準備點特產吧。」
「はい」
「好的」
女中さんが、おみやげの料理を持ってくると、
老媽子把特產拿來後,
「そうそう、代金は食べた分と一緒に、だんなさんからもらっておくれ」
と、言って、さっさと帰っていきました。
和尚說:「對了對了,這個的錢和飯錢合在一起,找老爺要吧。」說完後,急急忙忙地回家了。
さて、部屋に殘されたキツネは、
(ずいぶんと、長いおしっこだなあ)
と、思いながらも、一人でお酒を飲んでいました。
另一邊,被留在房間裡的狐狸,一邊喝酒一邊想:「去撒泡尿還真夠久的。」
しかしお坊さんは、いつまでたってももどってきません。
但是不管怎麼等,和尚也沒有回來。
(おかしいな。何をしているのかな?)
キツネはだんだん、心配になってきました。
「真是奇怪,他到底在幹什麼啊?」狐狸這樣想著,不由地擔心起來了。
そのうちにほかのお客さんはみんな帰ってしまい、殘っているのはキツネだけになりました。
等著等著,其他的客人都走光了,只剩下狐狸自己了。
そこへ女中さんが來て、言いました。
就在這時,老媽子走了過來,說:
「だんなさん、申し訳ありませんが、そろそろお店も終わりますので」
「老爺,不好意思,我們要關門了。」
「そうか。ところでわしの連れのお坊さんは、どうした?」
「這樣啊,那個和我一起來的和尚怎麼了?」
「はい。もうとっくに、お帰りになりましたよ」
「啊,他很早之前就回去了。」
「なんだと! 帰っただって!」
「你說什麼!已經回去了!」
「ええ。それから料理とおみやげのお金は、だんなさんからいただくように言われました」
「是的,他說讓我找你要飯錢和特產的錢。」
(しっ、しまった。坊さんにだまされた!)
「糟...糟了,被那個和尚騙了。」
キツネは、自分がだまされたことに気づきました。
狐狸終於意識到自己被騙了。
(どうしよう、どうしよう。困ったぞ)
「怎麼辦,怎麼辦,愁死人了。」
おろおろしているうちに、うっかり変身がとけてしまい、キツネは元の姿にもどってしまいました。
狐狸坐立不安的一不小心法術就解除了,變回了原本的模樣。
「あっ、キ、キツネ!」
「啊!狐..狐狸」
女中さんが大聲で叫ぶと、その聲を聞いてお店の人たちがかけつけてきました。
女傭大聲尖叫,店裡聽到叫聲的人都迅速趕了過來。
「人間に化けてただ食いするなんて、とんでもないキツネだ!」
「居然變成人來吃霸王餐,真是豈有此理。」
「さあ、逃がすもんか!」
「快,別讓他跑了。」
お店の人たちは、棒やほうきでキツネをなぐりつけました。
店裡的人拿起木棒和掃把追著狐狸打。
「た、助けてくれえー」
「救..救命啊。」
キツネは店の中をぐるぐると逃げまわり、やっとの事で天井裡から外に飛び出しました。
狐狸在店裡鑽來鑽去不停地逃,好不容易才從屋頂跳了出去。
「それにしても、ひどいお坊さんだ。キツネを連れてくるなんて」
「就算是這樣,那個和尚也真夠壞的,居然把狐狸帶來。」
次の日、料理屋の主人はお坊さんのところへお金をとりに行きました。
第二天,飯店的老闆到和尚的家裡要錢去了。
ところがお坊さんは、すました顔でこう言いました。
但是和尚一副若無其事的樣子,說道:
「そいつはお気の毒ですな。でもわしは、お前さんの店なんかに行ったことがないよ。きっとそのお坊さんも、キツネが化けていたんだろうよ」
「你真是可憐,但我沒有去過你的店裡啊,那個和尚肯定也是狐狸變的吧。」
それを聞いた料理屋の主人は、
「あのキツネめ。今度見つけたら、ただではおかないぞ!」
と、言って、くやしがったそうです。
聽了這話後,飯店的老闆一副不甘心的樣子,說道:「那隻狐狸,下次再見到他,我不會放過他的。」
おしまい
完