皆様こんにちは、今回このような貴重なチャンスをいただき、本當にありがとうございます。ましてこの大きなテーマで話させて頂けることは、何にも光栄なことであり、深く、深く感謝にたえません。
世界に立ち向かう中國仏教は実に優れた力をもっているとおもっています。しかし、発展途上の部分については、これからの課題として前向きに取り組んで行く必要があるものと、感じています。
では、本題に入らせていただきます
この十年間、日本で見聞してきた様々なことを基として、このテーマについて報告させていただきます。
まず優勢な部分、つまり他より格段に優れた部分に言及しますと、中國仏教の信徒の數は世界一です。
世界の仏教國の中で、中國仏教の信徒の人數は世界一であるということは言うまでもありません。世界中の華人は現在、15億人だと言われています。
そのうち80%が仏教徒だとすれば12億の信徒が存在することになります。
次ぎに影響力についてみますと、こちらも一番大きくなります。
現在世界佛教について言えば、日本仏教なら、五大洲まで道場を建立してもロシア、インドネシアなど伝統宗教が強い國では まずありません。
しかし佛光山では、一番北のロシアから一番南のニュージランドまで、全世界180箇所で道場を建立して中國仏教を広めています。
弘法の方法についても一番斬新な技術が使われています。
現在、新しい弘法の方法として使われているのは、テレビなどの電波媒體のほか、pda、メール、インターネットなどで、これらを通じて仏教の教育を発信することになっています。
それに臺灣だけではなく、衛星を使って世界の29カ國に発信されています。
この點について現在の日本仏教にとって、テレビなどの電波媒體をつかって宗教思想などが発信されることはとても考えられなく脅威に値し羨望のまなざしを送られることになります。
次に、本當に宗教の真義という「平和」「平等」を実踐するのは仏教のみと言え、誇りとすべきところでしょう。
まず、人類の歴史の中で、仏教による宗教戦爭はないということです。
それに、仏教の比丘尼と女性居士の布教師としての人數は世界一だということです。
私自身、何回も世界宗教會議に出席したことがありますが、出席する各宗教には「めずらしい」といえるほど女性の布教師の出席は少ないです。
ですから、仏教の女性布教師たちは目立った存在でした。
歐米では、lady firstとはいっても、教會の責任者のおける女性の比率は30%に及んでいません。
ですからほんとうの平等といえばやはり中國仏教にあるものと思います。
しかしいくら優れたものがあっても、発展上の遅れた部分をきちんと見つめなければ進化はストップしてしまうと思っています。
それにはまず、中國文化の難しさに著目していただきたいのです。
現代の若者は國文の程度なら「まあまあ」ですが、仏教の教理ですと雲の上の話になってしまっており、一般の人々も仏教から段々と離れていくことになっているのが
現狀と言えます。
このようなことから、40年間、佛光山ではこの弱點と向き合って様々な方法を工夫して頑張って參りました。
そうした中、方立天教授をはじめとして、大陸の優秀な學者の方々と協力をいただき、 全巻132冊の「白話経典寶蔵」を出版することができました。
このシリーズにたいしては學者の方々から大変に高い評価を得たばかりでなく、一般の信徒からも高い評判で受け入れられております。
このほか、小説版、漫畫版で出版された高僧伝などは若い方々から「わかりやすい」、「高僧の精神力、願力という人徳に感銘した」、「感動した」、「人生の鏡として見習うべき」・・・等、大きな反響と評価が得られました。
それに、映畫、アニメ、ドラマなども、信徒以外の人々にとって、印象的なものになったようです。
次に外國語で仏教を広める、人材の不足という點についてのべますと
佛光山では、アメリカ、オーストラリア、臺灣に英語佛教學院があり
日本、臺灣には日本語佛教學院が作られています。
外國からの學生に対する中國語専修の學部もあります。
教材が足りない問題への対応は、十五年前アメリカで専門の翻訳センターと出版社を設立させています。現在、翻訳された言語は20種類に及んでいます。出版された書籍は1000種類以上となっています。
日本仏教の場合、大宗派なら、海外への進出について百年の歴史をもっていますが最初の時、初代の移民と一緒にいきます、二代目はまだ日本語ができますので、先祖供養と葬儀のため信仰が続きますが、三代目以下ともなりますと、現地の教育を受け、日本語はできなくなります。
そうした結果、仏壇さえ寺院に戻したケースが多く、日本の海外の寺院にとって、大きな悩みになっています。
このようなことから、日本の四大宗派の一つである浄土真宗では今年の9月から英語版の通信教育を開講する予定になっているようです。
海外の弘法について日本仏教のようなただ法要を頼りにするなら、將來必ず同じ狀況に陥る恐れがありますから、人材の育成は中國仏教にとって最大の課題になることは疑いの餘地はありません。
そのうえ、中國仏教の修行者にとって國際弘法は修行の目標として、なかなか視野に入って來なかったようです。つまり出家したら、すぐ「了生脫死」という自利行に勵んで眾生救済のことは、あまり熱心にはしていない傾向がありそうです。
昔なら有名な鑑真和尚が日本で弘法に盡力して、現在なら星雲大師が苦心されて全世界に亙ってに中國仏教を広めていますが、中國人の世紀といわれる21世紀に入り中國仏教の責任はもっと重大ではないかと思っています。
考えてみれば、 西洋の伝道師の熱意により西洋文化は3世紀もの間、世界文化の主流となってきました。
最近、東洋文化の優れたところが、重視されて來ており、中國仏教の布教師としてもっと 國際観をもつべきだと思っております。
世界に向けて中國仏教について、どんなイメージを持って欲しいのでしょうか?
どのような內容を発信したいのでしょうか?
中國仏教は內容の豊富さや多様化では世界一ですが、それは長所でもあり、短所でもあります。
そんな莫大な経典からもっと現代人に相応しい教えを絞って発信すれば人のため、社會のため、ひいては世界平和のためになるのではないでしょうか。
言葉たらずではございますが、私の報告はここまでとさせていただきますが、このような大きなテーマを扱うことはなかなかポイントが絞れず、十分にいかなかったことを重ねて申し上げるとともにすこしでもお役に立てれば幸いと申し上げます。
どうもありがとうございました。