世よの読書どくしょ家かには二ふたつの流派りゅうはがある。一ひとつは、本ほんを包つつむジャケットを外はずして中なかにある表紙ひょうしのデザインを確たしかめる派は。もう一ひとつは表紙ひょうしには見向みむきもしない派はである。私わたしは後者こうしゃに屬ぞくする。
世上的讀書人有兩大流派。一種流派是拆下新書的封皮,確認裡面的封面設計。另一種是對封面不屑一顧的,而我屬於後者。
大阪おおさか市しで出版しゅっぱん社しゃを営いとなむ末沢すえざわ寧やすし史し(やすふみ)さん(40)は筋金入すじがねいりの「確たしかめる派は」。書店しょてんで本ほんを選えらぶ際さい、必かならずジャケットを外はずし、表紙ひょうしの作つくりを點検てんけんする。「ジャケットはお化粧けしょう、中なかの表紙ひょうしは素顔すがお。その違ちがいを楽たのしみたいからです」。
在大阪市經營出版社的末澤寧史(40歲)是堅定的「確認派」。在書店選書的時候,一定要拆下封皮,檢查封面的情況。「封皮是化妝,封面是素顏。我想享受這種不同。」
3年ねん前まえから大阪おおさかや京都きょうと、奈良ならで「本ほんのヌード展てん」を開ひらいてきた。いま開催かいさい中ちゅうの富山とやま市立しりつ図書館としょかんを訪たずねると、全國ぜんこくの本ほん好すきが厳選げんせんした90點てんが並ならんでいた。夏目なつめ漱石そうせき、谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろう、丸谷まるや才一さいいちらの単行本たんこうぼんに裝丁そうてい家かの工夫くふうがぎっしり詰つまる。
從3年前開始在大阪、京都、奈良等地舉辦了「書籍封面展」。我去了正在舉辦展覽的富山市立圖書館,這裡陳列著全國的書迷們嚴選的90本書。夏目漱石、谷崎潤一郎、丸谷才一等人的單行本,都傾注了裝幀家的心血。
たとえば落語らくご家かの桂かつら文枝ふみえさんを取とり上あげた本ほんは、ジャケットが地味じみなのに、表紙ひょうしはアッと驚おどろく派手はでな作つくり。上下じょうげ逆ぎゃくの師匠ししょうの「変へん顔がお(へんがお)」寫真しゃしんに見入みいった。ムーミンを解説かいせつした本ほんでは、ジャケットと表紙ひょうしで登場とうじょう人物じんぶつの色いろも表情ひょうじょうもまったく違ちがう。何なにやら得えした気分きぶんに。
例如,以落語家桂文枝先生為主題的書,封皮很樸素,封面卻製作得很華麗。我看著上下顛倒的師傅的「變臉」照片入神。在講解姆明的書中,封皮和封面上書中人物的顏色和表情都完全不同。我有種有所得的感覺。
〈すべての本ほんはつかの間まの本ほんと生涯しょうがいの本ほんの2種類しゅるいに分わけられる〉。英えい評論ひょうろん家かジョン・ラスキンの名言めいげんだ。これにならえば、すべての本ほんは表紙ひょうしまでじっくり味あじわうべき本ほんと、それほどでもない本ほんに二分にぶんできようか。末沢すえざわさんは「出版しゅっぱん不ふ況きょうで裝丁そうていにかけられる予算よさんが減へり、表紙ひょうしにまでこだわった書籍しょせきは貴重きちょうです」。
「書籍分兩類:一時的書和恆久的書」。這是英國評論家約翰·拉斯金的名言。如果仿照這一說法,就可以把所有的書分成兩種,一種是連封面都值得細細品味的書,另一種是不怎麼樣的書。末澤先生說,「由於出版行業不景氣,裝幀預算減少,連封面都很講究的書籍是很珍貴的。」
會場かいじょうで感かんじたのは、裝丁そうてい家かや編集へんしゅう者しゃが書籍しょせきに注そそいだ息吹いぶきそのもの。これまで表紙ひょうしを見みることなく手放てばなした本ほんの多おおさをいまさらながら悔くやんだ。
在會場中感受到的是裝幀家和編輯為書籍注入的氣息。至今為止,有很多連封面都沒看就放過的書,現在回想起來,很是後悔。
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【ジャケット】
(1)〔短い上著〕(前開襟的)短外套,短上衣;茄〔夾〕克(衫).
(2)〔カバー〕[CD・レコードの]唱片封套;[本の]塑料書皮,護封.
【筋金入り】
(為加固而嵌入或箍上的)金屬條,鐵筋,鐵箍.
(例)~を入れる/嵌入金屬條加固;使剛強有骨氣.
【慣用句】
~入り:經鍛鍊而變堅強.
(例)~入りの男/經過千錘百鍊的男子漢;有骨氣的男子漢.
(例)~入りの精神/硬骨頭精神.
【表紙】
封面,書皮,封皮(方).
(例)~を付ける/裝封面.
(例)~の取れた本/封皮脫落了的書.
(例)~のデザイン/封面設計.
【手放し】
(1)〔手を放す〕撒開手,放手.
(例)~運転は危険だ/撒把騎車,很危險.
(2)〔こだわりがない〕無拘無束(成);[遠慮がない]毫無顧忌;[無関心だ]漫不經心(成).
(例)~で喜ぶ/盡情歡樂.
(例)~でのろける/大談特談自己的豔聞.
(例)~の楽観は許されない/盲目的樂觀可要不得.
(例)この成功を~で喜んでばかりいられない/不能僅僅陶醉於這次成功.
(例)~の支持/無條件的支持.