最近、日本で都會の吃茶店の數が減っている。一つの原因は、週休二日の會社や役所が増えたことである。このため、土曜日に店を開けても、商売ができなくなった。もい一つ原因は、土地の値段が信じられないほど固くなったことである。これまでのように、お客が一杯のコーヒーでゆっくり休んでいると、お客の數が限られるので、高い地代を払えなくなる。
そこで、最近多くなったのは、今までの吃茶店よりずっと安いコーヒーを出し、お客が立って飲むという形の店である。お客がどんどん出ていくから、コーヒーがたくさん売れるわけである。
いっぽう、家庭でコーヒーを飲む人は多くなった。コーヒー豆の輸入の量は毎年増えている。朝、ご飯と味噌汁という食事をとる人がすくなって、パンとコーヒーの人が多くなった。コーヒーはいわば味噌汁の代わりである。
今の中年以上の人たちは、コーヒーが贅沢品であった時代の記憶を持っている。その人たちの少年時代には、コーヒーは歐米の文化の香りを伝えるもので立った。コーヒーを飲むことは単に喉の渇きを止めることでなく、日常を離れた文化の世界に遊ぶことであった。
最近のコーヒーは、朝の味噌汁の代わりとなり、コーラに似た立ち飲みの飲み物になった。味そのものは変わっていないが、コーヒーに対する人々の気持ちが変わったといえるであろう。
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