ドラマ「以家人之名」が大ヒットしている理由は?

2021-02-19 人民網日文版

   アラサー女子がテーマで大ヒットとなったドラマ「三十而已(Nothing But Thirty)」のバトンを、家族のあり方を描いたドラマ「以家人之名(Go Ahead)」が受け取り、ドラマ市場で大きな話題を呼んでいる。

女優の譚松韻(タン・ソンユン)や俳優の宋威龍(ソン・ウェイロン)、張新成(チャン・シンチェン)が出演する同ドラマは、湖南衛星テレビで大ヒット放送中だ。同ドラマは、譚松韻演じる李尖尖、宋威龍演じる凌霄、張新成演じる賀子秋の、血縁関係にない3人が偶然のきっかけで新しい「家族」となり、一緒に支え合いながら成長していく姿を描いている。愛によって「家族」の傷を癒す家族愛を描いた作品だ。

8月10日に放送が始まった「以家人之名」は、話題性、口コミの評判共に好調。繊細な感情が描かれているため、原家族や成長などさまざまな角度から議論が巻き起こり、「リアル」や「フレッシュ」、「心が和む」という聲が寄せられるなど、好評を博している。

ホームドラマはお決まりのパターンにはまりやすく、視聴者に新鮮味を感じてもらうのが難しいジャンルでもある。これまで、ホームドラマというと、大きなトラブルや重大な時代の命題が売りだった。しかし、多くの人々の議論の的になる作品にするためには、社會問題に切り込む必要がある。ホームドラマ系のシチュエーション・コメディ、嫁と姑の問題、相続トラブル、なかなか結婚できない女性、子供の教育、そして昨年のドラマ「都挺好(ALL IS WELL)」がスポットを當てた原家族の問題など、これまで大ヒットしてきたホームドラマは、社會問題に焦點を當てていたため、話題性に事欠かなかった。「以家人之名」の口コミ評判が高い主な原因は、ホームドラマのお決まり路線から脫して、獨自のスタイルを築いているからだ。

賀子秋は、片親家庭で7歳まで育ち、さらに7歳の時に母親が黙って出ていってしまう。その時、彼は捨てられたと感じ、劣等感を抱くようになり、安心感もなくしてしまう。そして子供らしくなくなり、大人のように他の人に気を遣い、人の顔色をいつもうかがっていた。その後、彼は李尖尖の父親である李海潮に引き取られ、洗濯や家事などの手伝いをするようになり、子供らしくない大人びた性格になっていく。李尖尖は子供の頃に母親を亡くしたものの、父親の良い教育と愛を受け、自信に満ちた明るい女の子へと成長していく。凌霄は子供の頃、自分のミスがきっかけで妹が死んでしまい、それが原因で母親も絶望に打ちひしがれてしまう。母親はその悲しみと怒りを凌霄と夫にぶつける。両親は毎日のように大ゲンカし、最終的に、母親は凌霄たちを捨てて家を出ていってしまう。崩壊した2つの家庭の子供2人が李海潮に引き取られ、血縁関係にない3人の子供が「兄弟」となり、さらに凌霄の父親も含めて5人家族となる。原家族を背景にした心理的問題が常に付きまとうものの、彼らは互いに関心を示すことを決して忘れず、互いに心の傷を癒し合う。それが、このドラマの魅力の一つだ。日本映畫「萬引家族」のような、血縁関係のない人が「家族」となり暮らすというスタイルも、中國のホームドラマとしては斬新だ。

同作品は、ストーリーが斬新であるほか、ネットユーザーの間では、適材適所のキャスティングも話題となっている。塗松巖(ツー・ソンエン)演じる李海潮と張晞臨(チャン・シーリン)演じる凌霄の父親という2人の父親にしても、日常のシーンでの3人兄弟にしても、どれもがはまり役となっている。

骨朵影視の統計によると、他のホームドラマが25-34歳の視聴者を中心としているのに対して、「以家人之名」の視聴者の中心は19-24歳となっている。丁梓光監督は、「ドラマの若者3人の背景、性格は全く異なっているものの、今の90後(1990年代生まれ)の若者のイメージや家庭の狀況を鮮明に反映している。二世代、ひいては三世代の中國人の家族との関係が描かれている」と説明する。

「以家人之名」は「血縁関係」で「家族」を定めておらず、伝統的な倫理的意義における「家族の観念」を打破し、「家族」や「家庭」の概念を新しく定義している。家族は血縁関係だけで繋がっているのではなく、愛や絆によって結ばれるべきであるはずだ。この作品のストーリーが進み、登場人物が成長していくにつれて、視聴者は今あるものや家族を一層大切にするようになっていくだろう。

本微信號內容均為人民網日文版獨家稿件,轉載請標註出處。

相關焦點

  • 中國で今年ミステリーをテーマにしたドラマが大ヒットしているワケは?
    「沈黙的真相」は現在、ネットユーザー7萬人がレビューを寄せ、9.2ポイントの高評価となっている。 今年は、なぜミステリーをテーマにしたドラマが臺頭しているのだろう?6年前にネットミステリードラマの先駆けとなった「暗黒者(The Death Notice)」から始まり、驚きの展開が連続する「白夜追兇(Day and Night)」、「無証之罪(Burning Ice)」、そして今年社會現象を巻き起こしている「隠秘的角落」、爆発的ヒットの様相を呈する「沈黙的真相」などに至るまで、それら作品はいずれも、社會派ミステリーで、物語は世相や様々な人生を映し
  • 中國の春節映畫「你好、李煥英」が大ヒットしている理由は?
    うち、「唐人街探案3(僕はチャイナタウンの名探偵3)」は35億6500萬元で斷トツ。以下、「你好、李煥英(Hi、 Mom)」27億3000萬元、「刺殺小説家(Assassin in Red)」5億4000萬元と続いた。近年の春節映畫を見ると、毎年のように「ダークホース」が登場している。
  • 中國のドラマや映畫が東南アジアで放送されて大ヒット
    )」といった中國ドラマが海外に進出し、東南アジアでは大ヒットしている。昨年も、世界中のネットユーザーから注目を集め、ドラマランキングでトップになった「瓔珞~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~(原題:延禧攻略)」は、ベトナムやタイなどの東南アジアの國で大ヒットした。これは、中國ドラマの東南アジア進出の縮図と言えるだろう。
  • 【ドラマ】日本でロマンチックすぎるドラマは古い?
    中國で古沢良太(42)という名前を知っている人はあまり多くないかもしれない。しかし、腳本家の彼が手がけた作品は、ほとんど宣伝もされない狀況下でも、日本ドラマファンに大好評となり、中國でも大ヒット。日本ドラマというと今でも1990年代に中國でも大ヒットした「東京ラブストーリー」や「一つ屋根の下」を挙げる中國人は少なくない。
  • 國內外で大ヒットの愛憎織り成す中國「宮廷ドラマ」 専門家は苦言も
    「延禧攻略」と「如懿伝」はいずれも、清の第6代皇帝・乾隆帝の時代を舞臺にしており、ドラマの大ヒットを背景に、北京の故宮ではこれまで目立たない存在であった延禧宮が人気スポットになっているほどだ。2011年に放送された中國ドラマ「宮廷の諍い女(原題:後宮・甄嬛伝)」は中國國內外で大ヒットとなり、「第3回澳門(マカオ)國際テレビ祭」の最優秀ドラマ賞などの大賞を受賞した。しかし、「宮廷ドラマ」のファンである胡窈さんは、「『甄嬛伝』を約50回見た」とし、「宮廷ドラマは今、『倦怠期』に入っており、もし新鮮味のある內容にしなければ、視聴者は飽きてしまうだろう」との見方を示す。
  • 豪華キャストでもないドラマ「相棒」が17年も人気を保っている秘訣は?
    これは、多くの日本ドラマファンのお決まりの「冬の過ごし方」だ。「相棒」は、警視庁內の窓際部署「特命係」に所屬している杉下右京が、相棒と共に推理力を駆使して難事件を解決する刑事ドラマだ。そして、視聴率はずっとトップ3に入るほどの爆発的人気となったため、劇場版も5作製作され、大ヒットした。多くの日本ドラマファンは、「相棒は21世紀の日本の國民的ドラマ」と評価している。
  • 【悪女】ドラマ版新「黒革の手帖」が大ヒット放送中 時代問わず面白い理由とは?
    2004年、女優の米倉涼子は同作品にヒロインの原口元子役で出演し、大ブレイクした。そして、銀座のクラブのママとして男を翻弄する「悪女」のイメージを、日本ドラマファンの心に植え付けた。今年の夏、その「黒革の手帖」が再びドラマ化され、元子役を武井咲が、議員秘書・安島富夫を江口洋介が演じている。
  • 【拍手】ドラマ「宮廷の諍い女」の米國版がネットフリックスから配信へ
    2011年から12年にかけて放送され大ヒットとなった中國のドラマ「宮廷の諍い女(原題:後宮・甄嬛伝)」の米國版が、米映像ストリーミング配信事業會社・ネットフリックスから配信されることがこのほど明らかになった。
  • 【絶賛の聲】ドラマ「カルテット」、「ありふれた日常生活」が「マニアック」に
    日本の1月スタートの冬ドラマの中で、中國のネット上では、マニアック路線で一番おもしろいと好評を博しているのがドラマ「カルテット
  • 【中國News】中國大ヒットドラマ「お晝12時のシンデレラ」日本で放送開始
    臺灣ドラマのヒットメーカー劉俊傑(リウ・ジュンジェ)監督、張翰(チャン・ハン)、趙麗穎(ジャオ・リーイン)、石安妮(シュー・アン二)らアイドルが主演するロマンティックラブコメディ「お晝12時のシンデレラ」(原題:杉杉來了-Boss & Me-)が5日から日本の有料チャンネルで放送開始される。
  • 【注目】冬の日本ドラマ総ざらい 「キャスト」プラス「高い実用性」
    例年の冬ドラマと比較すると、今年のラインナップは、「豪華なキャスト陣」が目立つ。「高視聴率男」と稱される木村拓哉は言うまでもなく、松たか子、深田恭子、波瑠、大島優子など「歴代」の女神が顔を揃えている。十數本の新ドラマが「総攻撃」を仕掛けてくるのに対して、どれを観たらよいのか分からない視聴者いるなら、おすすめドラマの見どころを紹介して差し上げよう。(文:吉媛媛。
  • ドラマ「カルテット」のようなユニークさ追求する「山澤カルテット」
    同ドラマでは、演奏家としての夢を諦めきれない「三流奏者」4人が弦楽四重奏のカルテット「ドーナツホール」を結成し、大人の世界における現実と辛さを淡々と語っていくというストーリー。たとえ演奏會場がレストラン、ショッピングモール、マンションの下だろうが、演奏衣裝が優雅な舞臺衣裝やユニークな著ぐるみだろうが、4人はそうしたことを一切気にすることなく純粋に音楽を楽しんでいる。
  • 【ドラマ】ドラマ「賢者の愛」これまでの概念を覆す、不倫を美しく描いた作品
    しかし、さまざまな演出が許容され、優秀な製作スタッフを抱える有料放送のWOWOWがこのほど完成させたドラマ「賢者の愛」は似たようなテーマの作品とは異なり、これまでの概念を覆す全く新しい「不倫ドラマ」となっている。 日本文學に詳しい人なら、このドラマが作家・谷崎潤一郎氏の著名小説「痴人の愛」がモチーフになっていることがわかるだろう。
  • 中國のゲームが海外市場で成功しているワケは?
    「MLBB」のように、海外市場で大ヒットしている中國のゲームは少なくない。「王者栄耀」の海外版「伝説対決―Arena Of Valor―(AOV)」から、ゲーム會社・米哈遊(miHoYo)のオンラインゲーム「原神」、莉莉絲(Lilith Games)のカジュアルゲーム「剣與遠徵(AFK Arena)」など、中國のゲームが海外に進出し、その勢力を拡大させている。
  • 【癒し】映畫「ベイマックス」は大好評 人気の秘密は?
    大陸部で公開されたディズニーアニメとしては、興行成績が2位となり、トップの「アナと雪の女王」を追い上げている。 主役のケア・ロボット・ベイマックスは現在、「ヒックとドラゴン2」(2014年)に登場するドラゴン・ナイト・フューリーに代わる、人気キャラクターとなっており、SNSの話題をさらっている。
  • 【分析】見かけの韓國ドラマ、中身の日本ドラマ、では中國ドラマは?
    時代は流れ、現在日本ドラマを見るのは格調高いドラマを求める少數派の人々となっている。一方で韓國ドラマのファンはすでに中國の全國各地にまで広がり、特に「星から來たあなた」や「太陽の末裔」といった作品の人気で、「韓ドラ現象」が再び人々を席巻している。
  • 【海外進出】中國人気ドラマ「琅琊榜」が4月に日本で放送へ 高まる期待
    有料のCSエンターテインメントチャンネルはこれまでに、中國ドラマ「隋唐演義」、「精忠嶽飛」、韓國ドラマ「トンイ」、「チョン・ドジョン」など、歴史ドラマを數多く放送してきた。 日本のメディアは、同ドラマについて、「『宮廷の諍い女』、『三國志』、『水滸伝』などの人気中國ドラマの良さを凝縮している。
  • 【トレンド】中國の若者でブーム、ストレス発散にモバイルで「ドラマのイッキ見」
    香港で研究職に従事している譚さん(25)は、平日は試薬開発業務に追われており、ドラマを観るのがストレス解消法のひとつになっている。「たいてい、寢る前や週末に(ドラマを)観る。週末は、日本のドラマを一気に観ることもある。SNSサイト『豆瓣』で評価の高いシリーズドラマが大好き。情報を集めたら一気に観る」と彼女は述べた。
  • 中國の人気ドラマ「延禧攻略」が2月に日本で放送 日本語タイトルが話題に
    そして、「延禧攻略」が2月から日本で正式に放送されることがこのほど明らかになった。日本で中國の大ヒットドラマが放送されるとなると、有料チャンネルでの放送がこれまでは多かったものの、今回は無料チャンネルで放送されるという點は注目に値する。
  • 【現実】ドラマ「重版出來!」を通して見る日本の漫畫界
    その元気良さと畫面からあふれんばかりのプラスのエネルギーで、決して景気がいいとは言えない出版業界にスポットを當て、中國の情報コミュニティサイト・豆瓣では、今年の日本ドラマとしては最高の9.1ポイントを獲得している。 「重版出來!」はコミカルで新人を勵ますだけのドラマと言う人は、腳本の能力を過小評価している。