5月1日、天皇陛下の退位を受けて、皇太子さまが新天皇に即位される。この歴史的な皇位の継承自體は、皇位継承を象徴する重要な場面となる。皇位の証として天皇家に代々継承されてきた三種の神器を引き継ぐ儀式「剣璽等承継の儀」。わずか5分程度で、しかも出席者の発言もないものではあるが、日本人として、古代から伝わる三種の神器の長い歴史を感じることのできる儀式だ。
三種の神器とは、古事記や日本書紀に記された日本神話に由來する「鏡・剣・勾玉(璽)」の3つの寶物だ。
このうち鏡は「八咫鏡(やたのかがみ)」と呼ばれ、天皇家の祖先とされ太陽の女神と伝えられる「天照大神(アマテラスオオミカミ)」が天巖戸(あまのいわと)に隠れ、世界が闇に包まれてしまった際に、天照大神を誘い出すために使われたとされている。
また、剣は「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」と呼ばれ、天照大神の弟の素戔嗚尊(スサノオノミコト)が、頭が8つある大蛇のような怪物「ヤマタノオロチ」を退治した際にその尾から出てきたなどと伝承されている。また、この剣は「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」と呼ばれていたが、後にこの剣を授かった日本神話の英雄、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が今の靜岡県焼津(諸説あり)の野で火攻めにあい焼き殺されそうになった際に、剣で周囲の草を薙ぎ、助かったことで草薙剣と命名されたという伝承もある。
そして、裝身具である勾玉は「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」と呼ばれ、八咫鏡と同じく天巖戸から天照大神に出てきてもらうために使われたとされている。
そしてこの「三つの神器」が、天照大神の孫とされる瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が、神々の住む「高天原」から地上に降りてきた際に授けられ、それが瓊瓊杵尊の子孫とされる天皇家に代々伝わっているとされているのだ。
この神話が史実かどうかについては何とも言いようがないが、歴史的にも、鏡と剣と勾玉が、古代の権力の象徴されてきたことは間違いない。