そのようにして、彼女はこれまで僕がつきあった女性たちの中で、自死の道を選んだ三人目となった。考えてみれば、いや、むろんいちいち考えるまでもなく、ずいぶんな致死率だ。
就這樣,她是我過去交往的女人中,走上自殺這條路的第三個。試想起來,不,當然不必一一去想,致死率也相當高。
僕にはとても信じられない。だいたい僕はそれほど數多くの女性と交際してきたわけではないのだから。なぜ彼女たちが若くして、そんなに次々に自らの命を絶っていくのか、絶っていかなくてはならなかったのか、まったく理解できない。
我實在難以相信。因為我畢竟沒有跟那麼多女性交往。為什麼她們年紀輕輕,就這樣接二連三地自絕性命呢?難道不絕不行嗎?我完全無法理解。
それが僕のせいでなければいいと思う。そこに僕が関與していなければいいと思う。あるいは彼女たちが僕を目撃者として、記録者として想像したりしていなければいいと思う。心から本當にそう思う。
但願那不是因為我,但願那與我無關。或者但願她們沒有把我想像成目擊者、記錄者。我真的打心裡這樣想。
そして、どう言えばいいのだろう、彼女は――その三人目の彼女は(名前がないと不便なので、ここでは仮にエムと呼ぶことにする)――どのように考えても自殺をするタイプではなかった。だってエムはいつも、世界中の屈強な水夫たちに見守られ、見張られていたはずなのだから。
而且,怎麼說好呢,她---那第三個的她(沒有名字不方便,在這裡姑且稱為M)---怎麼想都不屬於會自殺的類型。因為M應該經常受到全世界強壯的水手保護著,守護著。
エムがどういう女性だったのか、僕らがいつどこで知り合って、どんなことをしたのか、それについて具體的に語ることはできない。申し訳ないのだが、事情を明らかにすると、現実的にいろいろと面倒なことがある。おそらくまわりのまだ生きている人々に迷惑が及ぶことになる。
M是什麼樣的女人,我們是什麼時候,在什麼地方認識的,做了什麼事情,關於這些我無法具體說。雖然很抱歉,但如果說清楚的話,現實上會造成很多麻煩。恐怕會給周圍還活著的人帶來很多困擾。
だから僕としては、僕はかなり以前に彼女と一時期、とても親密につきあっていたが、あるときわけがあって離ればなれになった、としかここでは書けない。
因此以我來說,只能在這裡寫道,很久以前曾經有過一段時期,我跟她非常親密地交往過,但有一次,因為某種原因就開了。
原著:村上春樹
翻譯:賴明珠
朗讀:苑子醬醬
編輯:方小餅