・マスメディア(massmedia):
大眾媒體(たいしゅうばいたい):
マスコミュニケーションの媒體のことである。
・マスメディアが與える影響とは:
不特定多數の大眾に情報伝達をおこなうマスメディア。
世間に及ぼす影響にはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は「政治への影響」「経済への影響」「文化・教養としての影響」の3つの観點で解説します。
①政治への影響:
マスメディアが政治的な事実を報道・解説することにより市民は情報を得て、政治関連のトピックス(topic:株価指數)を何らか判斷する際の基準とします。
新聞の見出し・ニュースのテロップ(telop:televisionopaque(不透明な) projector(投射器):テレビ畫面に、テレビカメラを通さず文字を寫し出す裝置。また、そこに寫し出された文字。)などのマスコミ報道が與えるイメージや、ワイドショー(wideshow:ニュースや芸能情報など幅広く情報を紹介する番組である。)に出演するコメンテーター(commentator:テレビ、ラジオなどのニュース及びワイドショー(情報番組)の解説者のこと。)の意見など、ひとつひとつが世論の形成に影響を與えます。
その影響力は大きく、立法・司法・行政と並ぶ「第四の権力」と言われることもあります。②経済への影響:
マスメディアから流れる情報は人々の経済活動に多大な影響を與えています。
マスメディアで目にする商品やサービスの情報は、企業が出稿(しゅっこう)した広告の場合もあれば、広報(こうほう)活動の結果の露出(ろしゅつ)の場合もあります。
広告の具體例は、テレビCM、雑誌の広告ページ、新聞の広告欄、ラジオCMなどです。
日常生活で頻繁にかつ繰り返し目にするものであり、強く消費者の印象に殘ります。
広報活動の結果であれば、ニュース番組やバラエティ(variety:多様性)番組で企業や商品が紹介されたり、ドキュメンタリー(documentary:虛構(きょこう)を用いず実際のままを記録した性質を持つこと。)番組に社長が出演したりといったケースが挙げられます。
マスメディアで特定の事象が複數回取り上げられることで「これが人気なのだ」という共通認識を生み出し、経済効果に繋がります。
テレビ・雑誌で紹介されたスポットに人が集まったり、紹介された物が完売することなどが分かりやすい例です。
③文化・教養としての影響:
先述の通りマスメディアには「教師の機能」、つまり価値観や知識などを次の世代へ繋いでいく役割があります。
テレビであれば言語學習の番組、子ども向けの教育番組、手話や將棋(しょうぎ)などの趣味の番組などがあります。
雑誌であれば様々なジャンル(genre:種類)の専門誌(新聞は専門紙)があり、文化・教養の土壌(どじょう)作りに影響を與えています。
さらにマスメディアには娯楽としても大きな存在意義があります。
具體的には、映畫やドラマ、スポーツ中継、餘暇やレジャーを楽しむための娯楽情報を提供する番組、トークやお笑いなどを中心としたバラエティ(variety:多様性)番組などがあります。
これらの娯楽コンテンツ(contents:情報の中身)は人々が広く楽しむ大眾文化を成立させ、ある対象に対する人気を確立させることで流行を生み出しています。
・マスメディアの意義:
マスメディアには様々な社會的な意義が存在する。
①政治面:
特に政治において、マスメディアは大きな役割を持っている。
政治におけるマスメディアの役割としては、自らの意思によって政治的な事実を報道・解説することによって、一般市民に政治的判斷の基準を提供することがあげられる。
この機能によって、18世紀末ごろには世論が明確に形成されるようになり、19世紀のヨーロッパにおける新聞をはじめとするマスメディアの発達は、ナショナリズム(nationalism:民族主義、國家主義)の成長や大眾の國民化へとつながり、國民の政治意識の向上と民主主義(デモクラシー:democracy)の発達をもたらした。
こうした政治的機能の巨大さから、マスメディアは立法・司法・行政と並ぶ「第四の権力」と評されることも多い。
また、マスメディアの政治に対する影響は、それが政府や権力側を利するものであるという批判と、逆に少數派の意見を汲み取る(くみとる)ことができるとする擁護論(ようごろん)の雙方が存在する。
権力を監視し批判することこそマスメディアの使命であるとする考え(ウォッチドッグ機能)も存在するが、権力批判を至上命題とした場合ともすれば権力に従わない犯罪者をも擁護することになりかねず、善悪(ぜんあく)の転倒が起きる場合がある。
政治家がマスメディアに向けて単純だがわかりやすいパフォーマンス(performance:人目を引こうとする行為)を行い、選挙民がそれに強く影響される、いわゆるポピュリズム(populism:大眾に迎合(げいごう)して人気をあおる政治姿勢。)の問題も指摘されている。
民主國家のみならず獨裁制においてもマスメディアは大きな役割を持ち、こうした獨裁國家では政府に指導・統制されたマスメディアは情報操作により世論を政府寄りに保ち続ける社會統制のあからさま(明らかな、配慮のない)な道具となっている。
なかでもファシズムにおいてはマスメディアは非常に重要な役割を持ち、ナチス・ドイツなどではマスメディア、特にラジオでのプロパガンダを通じて世論を操作した。
ただし常にマスメディアが獨裁國家に有利な役割を果たすとは限らず、逆に1970年代以降、発達したマスメディアから他國の政治情勢を入手することで國民の自國の政治體制に対する不満が高まり、連鎖的に民主化が起こることにもなった。
②その他:
政治面に限らず、人々への情報提供そのものが社會的に非常に重要なものである。
マスメディアによって供給される情報は一般の人々にとっても、また専門職の従事者にとってもこれからどのような行動をとるかの參考となる。
そのほか、マスメディアが供給するさまざまな娯楽も重要な意義のひとつである。
映畫やドラマ、スポーツの鑑賞などの直接的な娯楽のみならず、餘暇やレジャー(leisure、餘暇)などを楽しむための娯楽情報もマスメディアからは大量に発信されている。
また、趣味や嗜好(しこう)を満たすための文化や教養面の情報も発信され、教育的な機能も持っている。
企業が自らの商品を売り込む(盛んに売ること)ための広告や、各団體が行う広報も、マスメディアでは大量に流される。
こうしたマスメディアによる畫一的(かくいつてき)で一方的な大量の情報の提供は、市民の受け取る情報を一様なものとすることで広汎(広範、こうはん)な共通文化市場を生み出し、人々が広く愉しむ大眾文化を成立させた。
人々が受け取る同一の情報はお互いの間に共通の話題を成立させ、またある対象に対する人気や、広告やCMと結びつくことで流行を生み出すこととなった。
・マスメディアの概説:
マスメディアとはマスコミュニケーションを行うメディア(=媒體)のことであり、たとえば新聞・出版・放送・映畫などのこと。
ブリタニカ國際百科事典によると、新聞、テレビ、ラジオ、映畫、雑誌などがその代表、とのことであり、受け手である大眾に対して公的・間接的・一方的に意味內容を伝達するような技術的道具や裝置のことを言う。
また「マスメディア」は、マスメディアを用いてマスコミュニケーションを行っている組織も含めて指すこともある。
例えば新聞社、出版社、放送局(テレビ局、ラジオ局)などである。
なおマスコミュニケーションとは、大眾への大量の情報伝達を指す。
が、日本では「マスコミュニケーション」の略語の「マスコミ」をマスメディアという意味でも用いることがある。
なお、マスメディアのうち「新聞」や「放送」、「雑誌」は「報道」や「ジャーナリズム」と言い換えられることがある。
「マス(mass)」という語は多義的で、もともと、大量(のモノ、コト)や大勢の人々を意味し、群眾などの意味もあるが、辭書などのマスメディアに関する説明では、「大眾」や「大量」の意味だとされることが多い。
現代のマスメディアがどのような狀態かというと、資本主義社會においてはマスメディアの大多數が営利(えいり)企業として営(いとな)まれており、その結果、利潤(りじゅん)の獲得や経営の安定が優先される傾向があり、伝達される內容が低俗化・畫一化(かくいつか)する傾向がある。
一方、シャカイ主義社會においては政府や支配政黨の方針によって伝達される內容が編集される狀態になる。
・マスメディアの機能:
①ハロルド・ラスウェルは
マスメディアの機能を、社會環境の現狀や変化に対し情報を伝え警告を発する「環境の監視」、社會環境に関して構成員間の意見を整理し世論を形成させる「構成員の相互作用」、そして価値観や社會的規範、知識などを次の世代へと繋いでいく「社會的遺産の世代的伝達」の3つに分類した。
②ウィルバー・シュラムは
同様に、マスメディアの機能を「見張り(みはり:注意して目を配り、警戒すること)の機能」、「討論の機能」、「教師の機能」の3つとした。
③ロバート・キング・マートンとポール・フェリックス・ラザースフェルドは、
マスメディアの機能を、人物や事象を社會的に認知させる「地位付與(ふよ)の機能」、道徳や法を人々に認知させ従わせる「社會規範の強制機能」、そして大量の情報によって人々の感覚を麻痺させ社會への関心をなくさせる「麻酔(ますい)的悪作用」の3つであるとした。
・マスメディアの役割:
マスメディアの機能について、コミュニケーション學の父とも呼ばれるアメリカの學者ウィルバー・シュラム(Wilbur LangSchramm、1907年8月5日 – 1987年12月27日)は、
「見張り(みはり:注意して目を配り、監視)の機能」
「討論の機能」
「教師の機能」の3つに分類しています。
①まず「見張りの機能」は、
社會環境の現狀や変化に対し情報を伝え警告(けいこく)を発する役割です。
政治や経済の動向をマスメディアが発信することにより、大眾が危機感や自身の考えを持つきっかけになります。
企業や団體に世間から見られているという意識を與えることで見張りとして機能します。
②次に「討論の機能」です。
これは社會環境に関して構成員間の意見を整理し世論を形成させる役割です。
従來の4大媒體(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)に加え近年は第5のマスメディアになりつつあるWebメディアやソーシャルメディアで個人が意見を表明することが容易になり、メディアが持つ討論の機能がより活性化しています。
③最後の「教師の役割」は、
価値観や社會的規範、知識などを次の世代へと繋いでいく役割です。
特に新聞は共有性、雑誌は保存性が高いメディアであり、次代への情報伝達に向いているマスメディアです。
④またアメリカの學者、ハロルド・ラスウェル(HaroldDwight Lasswell、1902年2月13日-1978年12月18日)も
それぞれを
「環境の監視」「構成員の相互作用」「社會的遺産の世代的伝達」
として分類しています。役割の名稱は異なりますが、內容は前述の「見張りの機能」「討論の機能」「教師の機能」と同様です。
・リアリティ(reality):現実、本質。
・レビュー(review):評論、批判。