「となりのトトロ」ポスターデザインの黃海氏 「外國人に中國人の視點を」

2021-12-30 人民網日文版

 宮崎駿監督の人気アニメーション映畫「となりのトトロ」デジタルリマスター版が12月14日に中國で公開された。あどけないキャラクターたちが登場し、見る人をピュアな気持ちにさせてくれる「となりのトトロ」は1988年に日本で公開されたものの、これまでに中國で公開されたことはなく、30年経った今年ついに正式に公開された。そして、子供の頃からの思い出が詰まったこの作品の公開を心待ちにしていた映畫ファンらが続々と映畫館に足を運び、公開からわずか3日間で興行収入が1億元(1元は約16.31円)近くにまで達している。

「となりのトトロ」のデジタルリマスター版が公開前に、中國版ポスターがSNSで大きな話題となり、そのハイレベルなセンスで見る人を魅了した。そして、日本のネットユーザーからも、「俯瞰のメイちゃんとサツキの構図とてもいいなあ。笑い聲とか聞こえてきそう」、「中國人が描く大自然からは、秘境への憧憬が感じ取れる」、「ものすごい趣があって感動した。日本にも逆輸入してほしい」などと絶賛する聲が寄せられている。ポスターでは、女の子2人が広い草原を歩いているように見えて、実はそれはトトロのお腹。その様子を見ると、「トトロ」の上ではしゃぐ子供の聲が聞こえてきそうだ。

 このポスターをデザインした黃海氏の作品が、中國國內外で稱賛を得るのは実はこれが初めてではない。「太陽照常昇起(The Sun Also Rises)」のポスターがカンヌ國際映畫祭で話題となったほか、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の「グランド・マスター(原題:一代宗師)」、姜文(ジャン・ウェン)監督の「さらば復讐の狼たちよ(原題:譲子弾飛)」、許鞍華(アン・ホイ)監督の的「黃金時代(The Golden Era)」、「モンスター・ハント(原題:捉妖記)」など、近年ヒットした中國國産映畫の國際版ポスターも手掛け、海外で好評を博した。黃海氏が日本映畫のポスターを手掛けるのも、「となりのトトロ」が初めてではない。これまでに、黃海氏は、「STAND BY ME ドラえもん」や「萬引き家族」などの中國版公式ポスターを手掛けてきた。住む國は違っても、素敵なものを愛する心は誰もが持っているものだ。ハイレベルなセンスで中國文化を海外にPRすれば、中國のデザインがさらに敬意を集め、注目されることになるだろう。

 

 「愛とグルメは噓をつかない」と言われるが、グルメドキュメンタリー「風味人間(Once Upon a Bite)」が現在中國で大ヒット放送中で、コミュニティサイト・豆瓣における評価が9.2ポイントと高評価を得ており、食いしん坊たちの間で同番組が好評を博していることを示している。黃海氏がデザインしたポスターは、グルメとノスタルジアを組み合わせ、真っ暗の夜に、小籠包が三日月のように輝いている。黃海氏は、「グルメのポスターというと、何も難しくないと思うかもしれないが、食慾をそそりながら、詩の味わいもあるポスターというのは難しい。故郷のグルメには、人々の故郷に対する思いが詰まっている。『風味人間』のポスターでは、そんなノスタルジアとグルメを組み合わせ、グルメを使って『故郷の雲、月、山』を描き、詩の味わいを表現した」としている。

 近年、黃海氏がデザインした映畫のポスターからは、「伝統文化」の世界を感じることができる。その點について黃海氏は、「『中國テイスト』だけで、それらポスターを説明するのは適切ではない。なぜなら、水墨や筆など中國の要素が盛り込まれているだけでなく、中國人の世界観がそこに詰まっていて、表現されているから。中國人の視點で物語を描き、世界に中國人がどのようにその物語を理解しているかをPRしている」としている。

 そんな黃海氏のお気に入りの場所は北京の天壇だという。黃海氏は、「天壇で、僕はよく蟲の世話をしたり、凧揚げをしたりしている人とおしゃべりする。そのような人はとても楽しそうだ。人の心をつかむためには、人の近くにいなければならない。人の心を理解してこそ、人がこの世界をどのように見ているかが分かる」としている。

 黃海氏がデザインした「萬引き家族」のポスターでは、1本の傘の下に家族5人がいる。その意図する點について、「傘は一時的な避難場所を表している。中國語の『傘』は『散』と同じ発音。家族というものは、いつかは散り散りになるものだ」としており、この中國版ポスターは、是枝裕和監督からも稱賛されたとし、「僕の願いは一人でも多くの人に中國文化を理解してもらうこと。外國人にも、中國人の視點や考え方を知ってもらうことができれば、とても意義深い」とした。

 インスピレーションを見つけるために、黃海氏はいつでも、どこでもアンテナを張り巡らせており、「インスピレーションを見つけた瞬間は、特別な気持ちになる」とし、その瞬間を、黃海氏は1日中、探し続けている。「デザイナーになった限り、全力で結果を求めたい。作品が多くの人に愛され、認められるというのは、僕にとってはかけがえのない喜びで、その喜びはお金で買えるものではない」としている。

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