「春節」を新年と考えている中國では、いまはどこに出かけても「ジングルベル」の曲が流れ、白い「雪」をかぶるクリスマスツリーが、常夏の南方都市でさえも商店街を飾っている。この國はいつのまにかこんなに「國際化」したのだろうかと不思議に思い、新聞に手を伸ばすと、もっとおかしな社會現象が雪のように目の前に降ってきた。
ウクライナから來た「スーパーモデル」
その実の姿は「炭鉱労働者」
四川省成都市で発行する「天府早報」からはこんなエピソードが流された。
この數年、成都ではどこでも金髪碧眼で足の長い外國人モデルが見られるようになった。各種の商業イベントでは、外國人モデルの登場が増え続けている。現在、不動産やワイン、寶飾など多くの企業が外國人モデルを好むようになっており、外國人モデルによって企業イメージを高めようとしている。現在、成都で外國人モデルのマネジメント企業は10社近く、モデル數は計100人近くに達すると見られている。成都で開かれるショーの規模が大きくなるにつれ、外國人モデルの需要も高まっており、大規模なモーターショーにおける外國人モデルの割合は全體の40%に達するほどだ。
100人近いモデルたちの中では、ウクライナ人が半分以上を佔めている。ウクライナは美女の産地であり、眉目秀麗で肌が白く背が高い美女が大勢いる。こうした先天的な條件の良さが、中國人の美的感覚にマッチし、歓迎されるようになったのだ。
最近は、ウクライナ情勢の悪化によって同國の景気が後退したため、多くの若い美男美女たちが中國で生き殘ることを選ぶようになっている。その際、モデルが不足している成都は、競爭が厳しくなく、報酬も高いことから、彼らにとっては最初の選択地となっている。ウクライナの若者たちの収入は低く、平均月収は中國の通貨に直すと1000元(1元は約18円)程度、就職口のない者も少なくない。
それに対して成都では、時給にして1000元を稼ぐことができる。同じことをしても、外國人モデルの報酬は中國人モデルの2.5~3倍に達し、素質に恵まれていれば月に7~8萬元を稼ぐこともできる。こうしたウクライナ人にとって、成都は金儲け天國なのだ。
多くの企業はこうした金髪碧眼のモデルを好むため、一部のウクライナ人女性は髪を金髪に染め、中國企業の「金髪碧眼」信仰に合わせている。
外國人モデルの多くは合法的なビザを持っていない。彼らの多くは3ヵ月の観光ビザやビジネスビザを持ち、期限が來れば一度出國してまた帰ってくる。ほとんどのマネジメント會社も、費用が複雑で手続きも面倒なために、外國人モデルのためのビザ取得には消極的だ。
こうした狀況はモデル市場に混亂をもたらしている。一部のモデルはより稼ぐために仕事を選ばず、自身の將來を考えずにどんな仕事もこなしている。また、多くの外國人モデルはプロのモデルではない。彼らは自國ではごく普通の仕事に従事している。受付、事務員、販売といった仕事などで、ただルックスが良いというだけで中國に來るとモデルに変身する。
一人のウクライナ人男性モデルは弟を成都につれて來た。「弟はウクライナではスーパーモデルだ」と彼は言い、実際に弟のルックスはとても良かった。だが、その性格やウォーキングにはプロらしさは全くない。実はこの「スーパーモデル」はウクライナでは炭鉱労働者に過ぎなかったと、「天府早報」は記事の最後に明かしている。
広州で広がる女子大生の「援交」
目的は高級ホテルでの宿泊
一方、「香港太陽報」はこんなエピソードを紹介している。
最近、広州の現地サイトでは、多くの自稱大學生の「援交女」の名前が見られる。彼女らは、微博(ウェイボー、中國最大のSNS)を通じて自分のセクシーさをアピールする寫真や動畫、スリーサイズなどを公表し、微信などで顧客と価格交渉をする。価格は數百元から數千元とまちまちだ。
「香港太陽報」の記者は「援交女」に連絡をとってみた。彼女らはいずれも自稱大學生で、一番若い女性は自稱18歳という。記者はその中の20歳の女性に會った。この女性は記者に會うや、自分から性行為の価格を提示してきた。彼女が提示してきた価格は一回につき1600元で、一晩で3600元。場所は四ツ星以上の高価なホテルを指定した。
この女性は旅行が好きだが、「貧乏旅行」が嫌いで、旅先では少なくとも三ツ星か四ツ星のホテルに泊まりたいから、援助交際に手を染めたという。初めは慣れなかったが、お金の誘惑には勝てなかったという。彼女によると、多くの「援交女」が自分の価格を吊り上げるために整形をし、ますます多くの女子大生が援助交際に手を染めており、年齢も低年齢化し、顧客も低年齢化しているという。彼女は多くの20歳過ぎの大學生から価格の問い合わせを受けるという。
広州では多くの大學生が援助交際について直接、口にできる雰囲気であるし、その広がりは周知の事実となっている。ある學生は自分の周りのある同級生も、援助交際をすることに肯定的だと「香港太陽報」は書く。
社會には愛人があふれ
撃退には専門業者に依頼
中國の企業名士は愛人を伴って接待の席に出席することで有名だが、政府官僚の愛人問題こそ當局が最も頭を痛めている事柄であると「タイムズ」も報道するほどだ。
中國人民大學のある研究によると、2012年に腐敗により逮捕された中國の高級官僚のうち95%が愛人関係を持ち、これらの官僚の逮捕の60%が愛人問題と関係があるという。ある地方の地方政府が美人コンテストを開き、秘書を募集したときには年齢と3サイズが指定されたという。
もちろん、中國人男性が誰でも愛人を持てるわけでなく、それは多くの金と大きな権力を必要とする。金と権力のある人からすれば、一人の若く美しい愛人は身分の象徴となるのである。
中國で愛人現象が出現したことは、かつては紋切り型だった國家に変化が発生したことを示している。愛人の流行は中國の一部の女性が、このような社會の中で商品と同等のものとなっていることを示している。
市場経済改革以來、男性たちに比べ、中國の女性たちは今まで持っていた力をすでに失っている。中國人が金持ちになればなるほど、男女の収入差の開きも広がり、これが愛人現象が広がる根本の原因となっている。今の中國では女性が男性を探すときには本音で接してかまわない。例えば男に住宅がなければ妻にはならない。男女の間の取引條件はあまりにもはっきりしている。女性の最も大きなアピールポイントは「體」で、男性は「サイフ」である。
深センには、「愛人撃退」(夫婦関係に水を差す要因を撃退すること)市場に照準を合わせた受講価格1.5萬元の新カリキュラムを開発して売り出した企業がある。受講者は全國各地の女性で、すでに300人が申し込んでいると広州の「羊城晩報」は報道した。
「愛人撃退」関連企業のホームページによれば、この會社は複數の感情分析アナリストやカウンセラーなどを抱え、破綻した婚姻の救済に豊富な経験を有し、「愛人撃退」カリキュラムは33人の婚姻救済専門家が、これまでの事例を詳細に分析して開発したものだ。
受講生が會社と契約を結んだあと、講師は受講生の婚姻狀況を把握し、その人に適したカリキュラムを組んで文字資料と動畫CD資料を提供し、その後は隨時悩みや相談に答えて充分なコンサルティングを実施する。カリキュラムには婚姻関係、姑との関係、整形指南、魅力アップの手引き、愛と技巧、誘惑技術、性愛指南、「愛人撃退」攻略法などが含まれる。
李という28歳の受講生は結婚2年目、最近になって夫の浮気を疑い、カリキュラムを申し込んでプライベートレッスンの講師がついた。彼女は毎週QQ(中國版メッセンジャー)や手紙などで、講師と1~2回連絡して講義を受けているが、直接會ったことは1度もない。カリキュラムで學んだ彼女はその後イメージチェンジをはかり、夫と対するときは少女のように裝うようにしている。
主婦で31歳の母親である王雪因もやはり夫の浮気が心配になり、7日に受講生になった。王はカリキュラムはたしかに効果的だと語り、現在、彼女の性格は前よりもずっと溫和になり、夫の立場に立って思考できるようになった。言葉使いも以前のように強い口調ではなくなったという。
20世紀末までは中國になかったジングルベルやクリスマスツリーが、現在では社會にしっかりと根を下ろしている。市場経済を取り入れた経済成長が続く中で、2016年は果たしてどんな新たなエピソードが中國から生まれてくるのだろうか。
Diamond Online 2015年12月24日
http://diamond.jp/articles/-/83748