また日本人が自然科學部門でノーベル賞を受賞した。スウェーデンのノーベル財団は10月1日、がんの免疫療法において多大な貢獻を行ったことに対し、京都大學特別教授の本庶佑氏(76)と、米國のジェームズ・P・アリソンノーベル氏にノーベル生理學・醫學賞を授與することを発表した。21世紀に入り、ノーベル賞を受賞した日本の科學者は、米國籍の日系科學者を含めると合わせて18人になった。毎年、日本人1人がノーベル賞を受賞している計算になる。
よく調べると、毎年のように日本人がノーベル賞を受賞しているのは、日本が基礎研究を長期にわたって安定してサポートし、危機感を抱き、若い科學者の育成を重視してきたことと切っても切れない関係があることが分かる。
今年のノーベル醫學・生理學賞の受賞者に選ばれた京都大學特別教授の本庶佑さん
自然科學部門のノーベル賞は、主に基礎科學の分野で畫期的な成果を上げた人物に授與される。基礎研究は通常、成果が出てからそれが高く評価されるまでにかなりの時間がかかる。日本文部科學省が発表している統計によると、1940年代以降、世界のノーベル賞受賞者が受賞の根拠となる研究成果を得た平均年齢が37.1歳、実際に受賞した時の平均年齢が59歳で、研究成果を得てから受賞まで平均22年かかっている。本庶氏も、70年代に免疫抗體の研究を初めて、1992年に免疫を擔う細胞の表面にある「PD-1」というタンパク質を見つけたと発表し、それからノーベル賞受賞まで26年かかった。
人気のテーマで成果がすぐに出る手っ取り早い研究なら、たくさんの論文を発表することはできても、他の人の研究を基礎にしているため、ノーベル賞を受賞することは永遠にできない。本庶氏は、ノーベル賞受賞會見で、「今回の基礎的な研究から臨床につながるような発展ということで受賞できたことによって、基礎醫學分野の発展が一層加速し、基礎研究に関わる多くの研究者を勇気づけるということになれば、私としてはまさに望外の喜びだ。基礎研究は非常に重要だが、成果が社會に還元されるまでにかなりの時間がかかる。社會にはもっと寛容な気持ちで基礎研究を見てもらいたい」との見方を語った。
近年、日本人が相次いでノーベル賞を受賞し、世界の注目を集めているものの、日本の各界はそれに甘んじることなく、常に危機感を抱いていることは非常に印象的だ。日本政府は毎年、日本の科學研究の実力や存在する問題をまとめ、世界の主要國と比較する「科學技術白書」を発表しているが、近年はその中で、「日本の科學技術の開発力が衰退の兆候を見せ始めている」と何度も指摘している。
2018年度の「科學技術白書」によると、世界の主な科學研究大國の中で、日本の研究者の論文発表數だけが減少し、04年の6萬8000本をピークに、15年には6萬2000本に減った。また、被引用度で世界トップ10%に入る質の高い論文數のランキングでも、日本は世界4位から9位に下落した。政府の科學技術関連予算も、18年の投入額3兆8401億円は2000年の1.15倍にとどまり、世界の主な科學研究大國の中で増加率が最も低い。
今年2月、雑誌「東洋経済」の特集記事「大學が壊れる」は、日本の大學が直面している危機を様々な角度から指摘し、「過去數十年間にわたり、日本の科學研究は質も量も、急激に落ちた」と指摘。また、ノーベル賞受賞者の益川敏英氏や梶田隆章氏も、「日本の科學研究は危機に直面している」と警鐘を鳴らしているという。梶田氏は、「論文の數は研究資金、時間と人員の數で決まる。日本がこの三要素を悪化させ続ければ、將來ノーベル賞を得るのは難しくなるだろう」との見方を示している。
日本にはもう一つ、若い科學者の育成やサポートが不足しているため、若者の科學研究離れが進んでいるという懸念もある。16年のノーベル生理學・醫學賞の受賞者・大隅良典氏ら有識者は、「日本の社會は、若者たちが、目先のことを心配せずに、5年、10年後のことを安心して考え、安心して研究に打ち込める環境を作らねばならない」、「日本は若い研究者を育成する體制を作らなければ、日本の科學は空洞化する」と指摘している。18年度の「科學技術白書」は、「日本は科學研究への資金投入を強化し、若い研究者にもっと良い科學研究の環境を提供するべきだ」と指摘している。
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