「返り討ち」にあった相手とは?
「反殺(返り討ち)」的對象是誰?
少し前のものだが、まずは以下のスポーツ新聞の記事をお読みください。
在正文之前,首先請閱讀以下的體育新聞報導。
「2年連続開幕投手を任された中日・大野が6回9安打6失點と大炎上。森新監督に初星を贈ることはできなかった。〈略〉チームは昨季最終カードの巨人戦〈略〉で2試合連続サヨナラ負けを吃した悪夢を振り払い、最下位からの巻き返しへ再スタートを切りたかったが、返り討ちにあう形となった。」(2017年4月1日「スポーツニッポン」)
「連續兩年擔任開幕投手的中日隊大野,爆冷六局九安打失六分,沒能給森新監督獻上首勝。(略)隊伍上賽季止步於對陣巨人隊(略),自此,隊伍未能一掃二連敗出局的噩夢。由末位捲土重來的願景,還是被反殺(返り討ち)了。」(2017年4月1日《日本體育》)
よくある內容のスポーツ記事(中日が巨人に負けることがよくあるという意味ではない。念のため)だと思う。なぜこれを引用したのかというと、「返り討ちにあう」の使い方に注目していただきたかったからである。
這是一篇常見的體育報導(為避免誤解,並非指中日隊負於巨人隊常見)。引用這篇報導的原因,是其中「返り討ちにあう」的用法很典型。
『日本國語大辭典(日國)』で「返り討ち」を引いてみると、
《日本國語大辭典(日國)》中,「反殺(返り討ち)」詞條引用如下,
(1) 自分と関係のある人を殺傷した相手に復讐をしようとして、逆にその相手に討たれること。
(1)向殺傷自己身邊人的對象復仇,自己反被那個對象擊殺。
(2) 江戸時代、主人が下人を手討ちにしようとして、かえって下人に殺されること。この場合、家は斷絶となった。
(2)江戶時代,主人本想手刃下人,反被下人殺害。這種情況下,家族也斷絕了。
(3) 転じて、一般に、相手にしかえしをしようとして、逆にまたやっつけられること。
(3)換言之,一般來說,被本想報復的對象擊敗了。
以上の3つの意味が示されている。これらの意味に共通しているのは、(2)の意味は別にして、「復讐(ふくしゅう)」とか「しかえし」をしようとして、逆にやり返されるということである。(2)の意味も江戸時代の定めで、形としては下人の側に落ち度などがあったときに主人が手討ちにしようとしたという、前提のある意味だと思われる。
在以上展示的3個例子中,意思都有相同的地方。除了例子2,限定了江戶時代主人手刃犯錯的下人的前提,其餘都指為了「復仇」或「報復」反被擊敗的意思。
ところが、冒頭のスポーツ新聞の記事を読むと、ここで使われている「返り討ち」には、「復讐」とか「しかえし」とかいった強い意味合いの前提はない。「返り討ちにあう」の形で、単に襲ってきた相手や戦う相手に(満を持して)応戦したものの、逆にやられてしまうという意味で使われている。実は、この襲ってきた相手に反撃したものの、逆に打ち負かされてしまうという意味は、この記事に限らずかなり広まっているようなのだ。
話說回來,開頭的體育新聞報導中,使用的「反殺(返り討ち)」沒有「復仇」或「報復」那樣強烈的含義。其實,不止是這篇報導,這種回擊來犯的對手,反而輸給對手的意思,早已被廣泛使用。
おそらくこれは「返り討ち」が例えば、東川篤哉のミステリー小説『謎解きはディナーのあとで3』(2012年)にも、
而且東川篤哉的懸疑小說《解謎在正餐後3》(2012年)中,也有一個「反殺(返り討ち)」的例子,
「犯人は兇器として木刀を用いております。風祭警部の推理によれば、この木刀は隆文氏が泥棒撃退のために自ら持ち出したもの。隆文氏はその木刀を泥棒に奪われ返り討ちにあった、警部はそう推理したのでございます。」(さよならはディナーのあとで)
「犯人以木刀作為兇器。根據風祭警官推理,這把木刀是隆文先生為了擊退小偷親自拿出的東西。所以警部推理,隆文先生是被小偷奪去了木刀而反殺(返り討ち)。」(永別在正餐後)
とあるように、単に襲ってくる相手を打ち負かすという意味で使われるようになったためであろう。
如上文所示,詞意也變成了用於單指被襲來的對象打敗的意思吧。
最近の國語辭典の中には、この新しい意味について觸れているものが出始めている。『日國』も、実際の使用例もあることなので、語釈の內容を検討しなければならないようだ。
最近在國語辭典中,這種新含義開始出現的現象。《日國》也必須參照實際中的使用例子,討論詞語的含義。
原文地址:https://japanknowledge.com/articles/blognihongo/entry.html?entryid=459