私たちの取材に応じて、華東師範大學第二高等高校で外國人教師を務めるブライアン·キース·フォーダムは、先生ならではの優しい聲で質問に答えてくれた。茶色の格子縞のシャツを著て、いかにも紳士らしい雰囲気だ。一見、靜かな人のように見えるが、実際には、心の底から自由を切望し、世界を探検するのが好きという積極的な一面もある。それこそが彼が故郷のカナダから中國までやってきた理由だ。
取材に応じるブライアン·キース·フォーダム
ブライアンは、カナダのニューブランズウィック州にある海沿いの美しい町、セントアンドリュースで生まれ育った。初めて中國に來たのは2009年。それ以前、彼はアメリカでコンピュータープログラマーとして10年間働いていたが、いつも何かを変えたいという気持ちを抱えていた。中國語と教育が好きだったから、最終的に中國に行くことを決めた。
だが、彼が最初に選んだのは上海ではなく、河北省の鄭州市で黃河科技大學の教師を務めた。なぜ上海に來なかったのかと聞くと、「上海は國際的な大都市であり、多くの外國人がいるからです。私は自分の性格をよく知っていますので、もし英語で話す対象がいるなら、中國語は練習しません」と正直に答えた。
鄭州には4年住んで、新しい都市に転居してみたいと考えた時、ブライアンはついに上海を選んだ。そして彼の予想通り、上海に到著するとすぐ、この都市の國際性を感じた。
ブライアンが教鞭をとる華東師範大學第二高等高校は1958年の設立。上海で唯一、國家教育部に直屬する「全國重點高校」であり、早くから國際化を進めていることで有名だ。
1999年、上海市政府の認可を経て國際部を設け、12歳から18歳の外國人學生および香港·マカオ·臺灣地區の學生を募集、中學·高校の教育を行う。現在約400人の外國人學生が在校している。また生徒の國際化とともに、教育課程、學生活動、教師の國際化も進めている。例えば、1980年代以降、ユネスコの支援による教員養成プログラムを通して、國際教育における優れたスキルを學ぶために學校はアメリカ、イギリス、日本、その他の國々へ多くの教師を派遣してきた。海外姉妹校との交流も多い。また、2014年にはアメリカのAPプログラム(高校生に大學の初級レベルのカリキュラムと試験を提供するプログラム)も導入した。
華東師範大學第二高等高校國際部の外國人教師の集合寫真
それだけでなく、當校は中國の基礎教育改革·革新の代表でもある。1980年代末から、學校は教育改革を実施し始め、「全國理系実験クラス」「上海理系実験クラス」などを設立、文理融合型の教育を進めてきた。
ブライアンは自分が所屬するこの學校の優れた國際教育を高く評価している。彼によると、これまで華東師範大學第二高等高校を卒業した外國人學生は500人ぐらいで、そのうち9割が國內外の名門大學に進學した。學校は外國人學生の異なる學歴や學習目的に応じて、様々なカリキュラムを導入。中でも、彼らの異文化への理解と寛容性を高めるために、中國語教育や中國文化教育を強化してきた。
華東師範大學第二高等高校の學生とイタリアからの交換留學生との集合寫真
海外の學校との交換留學プログラムに関して、ブライアンは「毎年、世界中からうちの學校に交換留學に來ます。これは、學生たちが他の國を體験する絶好のチャンスだと思います。機會があったら私は絶対にカナダの人々に他の國に、特に中國に行ってみてくださいと勧めます。ただニュースを通して知るだけでなく、その國で何があるのかを自分の目で見、その國の人たちと話して、彼らがどんな暮らしをしているのかを自分の耳で聞くのは、非常に有益なことだと思います」と語った。
學校での仕事に全てを捧げてきたブライアンは、中國で暮らしたこの10年間、學校と家の往復の日々を過ごしている。中國社會への理解は、ほとんど上海人の妻からだ。
「改革開放政策が実施されて以來、上海は大きく変化しました。例えば、上海の地下鉄は非常に発達しており、どこに行くにも非常に便利です。さらに、上海には高層ビルがたくさんあります。モダンな建物と伝統的な石庫門が共存しています。全體的にいえば、上海は國際化して、ショッピングや交通手段などはすべて以前とは異なってきました」。
さらに上海の変化は、ブライアン自身のふるさとであるセントアンドリュースの変化と比べる時、その差はより明白になる。ブライアンによると、セントアンドリュースは人口1.8萬人という小さな町だ。160年間、何一つ変化がなかった。道路には変わりがなく、建物にも変わりがない。「ですから中國での體験は、私のふるさとのカナダではありえないような體験なのです」。
ブライアンが書いた中國の改革開放への寄語
最後に現在の生活について、「私は上海が大好きです!ここで5年間以上生活したが、もう離れたくない。私はここで結婚してもうすぐパパになります!上海での生活は最高です!」と満足げな微笑で語った。
(取材/鄭倩 日本語訳/王笑陽)
「改革開放」とは中國で1978年から開始された経済政策である。2018年は改革開放政策実施開始40周年にあたる。そこで東方ネットでは「改革開放40周年40人」と題したシリーズ報道を行う。シリーズ報道は経済、貿易、文化、教育、民間交流、科學革新などの各分野において中國改革開放の足跡を目撃した代表的な外國人40人を取材する。彼らの物語を通じて大きな時代の流れを描き出し、中國と上海が歩んできた40年間の発展と智慧を垣間見ようとする。