アメリカの第46代大統領に民主黨のジョー・バイデン氏が就任しました。バイデン新大統領は就任演説で「民主主義が勝利した。分斷は深く現実のものだが、國民の結束に全霊をささげる」と訴えました。
大統領就任式は日本時間の21日未明、首都ワシントンの連邦議會議事堂の前で行われました。
就任式は新舊大統領が顔をそろえるのが恆例ですが、トランプ前大統領は欠席し、ペンス前副大統領や歴代の大統領夫妻が參列するなか、民主黨のジョー・バイデン氏が宣誓して第46代大統領に就任しました。
バイデン新大統領は78歳、歴代大統領では最高齢となります。
バイデン新大統領は就任演説でまず「きょうはアメリカの日であり、民主主義の日だ。民主主義が勝利を収めた」と述べました。
その上で「分斷は深く現実のものだ。私は國民と國家の結束に全霊をささげる。すべての國民に加わってほしい」と訴えました。
さらに「共和と民主、地方と都市、保守とリベラルという無意味な爭いをやめなければならない。相手に心を開けばできるはずだ」として「私はすべての國民の大統領になると誓う。私を支持してくれた人だけでなく、支持しなかった人のためにも同じように懸命に闘う」と強調しました。
またバイデン新大統領は「同盟を修復し、再び世界に関與する」と述べ、國際協調を重視する姿勢を示しました。
演説では終盤、新型コロナウイルスの犠牲者に黙とうをささげたあと、「今は試練の時にある。民主主義と真実への攻撃、猛威をふるうウイルス、格差の拡大、人種差別、気候変動に直面している。すべてに同時に向き合い、かつてないほど大きな責任を果たさなければならない」と指摘した上で「恐怖ではなく希望、分斷ではなく結束、暗闇ではなく光の物語をともに紡ごう」と呼びかけました。
就任式は、今月6日、トランプ氏の支持者らが首都ワシントンの連邦議會議事堂を一時佔拠する事態が起きたことを受けて、首都ワシントンをはじめ、全米各州の議事堂などでも厳重な警備態勢がとられる中で行われました。
これまでのところ、ワシントンをはじめ全米各地でも、過激な抗議行動といった大きな混亂は伝えられていません。
バイデン新大統領はこのあと新型ウイルス対策や気候変動、移民政策などを巡る文書に署名し、トランプ前政権からの転換を打ち出す見通しですが、トランプ前大統領の支持者らの反発は強く、多くの難題にどう向き合うか、早くもその手腕が問われることになります。
ネット上で「バーチャル・パレード」今回の就任式では新型コロナウイルスの感染対策のため連邦議會からホワイトハウスまでの間で行われてきた恆例のパレードは実施されず、代わりにインターネット上で「バーチャル・パレード」と題した催しが行われました。
「バーチャル・パレード」では全米各州で撮影された映像が流され、市民らはマーチングバンドやダンスで新しい大統領の就任を祝いました。
また、新型コロナウイルスに立ち向かう醫師や軍の兵士らをたたえる動畫も放送されました。
さらに、先住民やラテン系アメリカ人、中國系アメリカ人がそれぞれの民族に伝わる楽器や踴りで新政権の発足を祝うなど、「バーチャル・パレード」はアメリカの多様性を強調した內容となりました。
アメリカのバイデン新大統領の就任を受けて、菅総理大臣は、21日午前2時すぎ、みずからのツイッターに、お祝いのメッセージを投稿しました。
メッセージは「バイデン大統領、ハリス副大統領、ご就任おめでとうございます。 日米は普遍的価値を共有する、強い絆で結ばれた同盟國です。日米同盟の強化や『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向け、今後バイデン大統領と協力していけることを楽しみにしています」と、日本語と英語でつづっています。
バイデン新大統領の就任に関連してロシア大統領府のペスコフ報道官は「ロシアはこれまで通りアメリカとの良好な関係を求め続ける。それに対応する政治的な意志があるかどうかはバイデン氏と彼のチームにかかっている」と述べ、トランプ前政権との間で悪化した関係を改善させられるかどうかはアメリカの出方次第だと強調しました。
また、ロシア外務省はコメントを発表し、來月に失効が迫るアメリカとロシアの核軍縮條約「新START」をめぐって「前提條件なしに延長することは可能で、最長5年の延長が望ましい」として、條約の延長を呼びかけました。
プーチン政権としては、「新START」をめぐる交渉をきっかけにバイデン新政権との対話を進める機運を高めたい考えとみられます。
ただ、バイデン氏はこれまでプーチン大統領を「獨裁者」などと呼んで繰り返し批判していて、ロシアではバイデン新政権がヨーロッパとの結束を取り戻しロシアに対していっそう強硬な政策をとるのではないかと警戒する見方が出ています。
イギリスのジョンソン首相は20日、地元メディアとのインタビューでバイデン新大統領とハリス新副大統領に祝意を示した上で、「われわれはともに取り組んでいく共通の課題がある。新型コロナウイルスで受けた影響からの回復に向けて、國際社會がまとまっていく必要がある。気候変動への取り組みも重要だ」と述べました。またジョンソン首相は、バイデン新大統領がヨーロッパとの関係を重視しているという認識を示した上で、アメリカとの緊密な関係を築くことはイギリスの首相にとって重要な職務だと強調しました。
一方、ジョンソン首相はツイッターにも「気候変動や新型コロナウイルス対策など私たちに関わる重要な課題についてアメリカのリーダーシップは不可欠だ。バイデン新大統領とともに仕事ができることを楽しみにしている」と投稿しました。
フランスのマクロン大統領はみずからのツイッターで「アメリカのパリ協定への復帰を歓迎する。お帰りなさい」と投稿し、地球溫暖化対策の國際的な枠組み「パリ協定」に復帰する方針を示すバイデン新大統領が就任したことを歓迎しました。
その上で「現代の課題はともに取り組むことで解決できる。ともに地球のために行動をとることが気候変動の結果を変えることができる」と述べてアメリカと連攜を深めることに期待を示しました。
ことしのG20サミット=主要20か國の首脳會議で議長國を務めるイタリアのコンテ首相はみずからのツイッターで「きょうはアメリカ國內にとどまらず民主主義にとって偉大な日だ。イタリアはアメリカとともに共通の國際的な課題に取り組む準備はできている」と投稿してバイデン新大統領とハリス新副大統領の就任を祝福しました。
インド モディ首相「両國の戦略的パートナーシップを」インドのモディ首相はバイデン新大統領の就任についてツイッターで祝意を示し、「両國の戦略的パートナーシップを高めるためにともに働くことを楽しみにしています」と述べました。
また、母親がインド出身でインドにゆかりのあるハリス新副大統領についても「ハリス氏の副大統領就任おめでとうございます。歴史的な出來事です。両國の関係をより強固なものにするために交流することを楽しみにしています」と祝福しました。
茂木外務大臣は、21日午前7時ごろ、みずからのツイッターに日本語と英語でお祝いのメッセージを投稿しました。
このなかでは「アメリカの大統領、副大統領に就任された ジョー・バイデン氏とカマラ・ハリス氏に心からお祝い申し上げます。バイデン新政権との間で日米同盟をさらに強化するとともに、『自由で開かれたインド太平洋』の実現や新型コロナ、気候変動などへの対応に関し、協力を深めていくことを楽しみにしています」としています。
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