日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦點をあてるのは「職業別の年収」。厚生労働省の調査から、129の職業の平均年収を見ていきます。
昨今、將來に見據えて資産形成の重要性がたびたび言われています。稼げる仕事であれば……と誰もが感じることです。
國稅庁「令和元年分民間給與実態統計調査」によると、令和元年12月31日現在の給與所得者數は5,990萬人で平均給與は436萬円、男女別にみると、男性540萬円、女性296萬円でした。その內訳を見ていくと、平均給料は366萬円(男性449萬円、女性253萬円)、平均賞與は70萬円(男性91萬円、女性43萬円)となっています。
また14業種別に平均給與を見ていくと、最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で824萬円(平均給料674萬円、平均賞與151萬円)。「金融業、保険業」で627萬円(平均給料483萬円、平均賞與144萬円)、「情報通信業」599萬円(平均給料485萬円、平均賞與113萬円)となっています。一方で最も平均給與が低いのが「宿泊業、飲食サービス業」で260萬円(平均給料240萬円、平均賞與20萬円)です。
さらに年齢階層別に見ていくと、男性の場合、大學を卒業し社會人デビューとなる「20~24歳」で278萬円。その後、定年間近の「55~59歳」で686萬円とピークを迎えます。
「會社員の平均給與436萬円」……妥當だと思うでしょうか。一方で年収2000萬円を超える、超高給取りは全國に21萬4146人。給與所得者は5,000萬人強の0.4%。遠い存在ではありますが、夢の高給取りの會社員は、確かにいます。
「自分の職業では、そんな給料、無理だ」と言う人も多いでしょう。いったい、高給取りの多いのはどのような職種なのか、厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」で見ていきます。
今回、同調査で「きまって支給する現金給與額*1」×12+「年間賞與その他特別給與額*2」で平均年収*3を算出しました。
*1 労働契約、労働協約あるいは事業所の就業規則などによってあらかじめ定められている支給條件、算定方法によって6月分として支給された現金給與額をいう。手取り額でなく、所得稅、社會保険料などを控除する前の額である。現金給與額には、基本給、職務手當、精皆勤手當、通勤手當、家族手當などが含まれるほか、超過労働給與額も含まれる。
*2 調査実施年の前年1年間(原則として1月から12月までの1年間)における賞與、期末手當等特別給與額(いわゆるボーナス)をいう。賞與、期末手當等特別給與額には、一時的又は突発的理由に基づいて、あらかじめ定められた労働契約や就業規則等によらないで支払われた給與又は労働協約あるいは就業規則によりあらかじめ支給條件、算定方法が定められていても、算定期間が3か月を超えて支払われる給與の額および支給事由の発生が不確定なもの、新しい協約によって過去にさかのぼって算定された給與の追給額も含まれる。
*3 企業規模計10人以上、男女計
それによると、高給取りの代名詞である「醫師」は、平均年収1169萬2300萬円(平均月給91萬円、平均賞與77萬2300円、年齢40.7歳、勤続年數5.2年)。全129職で第2位で、トップではありませんでした。
醫師よりも高給取りの職業……それは「航空機操縦士」、いわゆるパイロットです。平均年収は1694萬6100円(平均月給122萬4300円、平均賞與225萬4500円、年齢39.4歳、勤続年數10.3年)。
パイロットの年収が高いのは、高度の技術を要する専門職だからです。また近年、世界各國で格安航空會社が誕生し、パイロット爭奪戦が激しさを増しています。日本國內では1980年代後半までに採用したパイロットが2030年頃に大量に定年退職し人材が不足する「2030年問題」も。このような背景から、高額の年棒を提示する航空會社も現れています。
また體力的にもハードですし、海外路線ともなると時差もあるため體調管理も大変……このような労働條件も高給の理由のようです。
今回、調査方法が異なるので、一概に言うことはできませんが、平均給與は436萬円を超える職種は56種。夢の1000萬円超えは、「航空操縦士」「醫師」のほか「大學教授」(平均月給66萬9500円、平均賞與297萬2200円、年齢57.7歳、勤続年數16.3年)のみでした。
職種別「平均年収」上位10 出所:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」より作成
コロナ禍で航空需要は世界的に大きくダウン。世界には破綻に至る航空會社も。今後もパイロットが年収を保てるかどうか、不透明なところはありますが、憧れの高給を手にするには、相當な高度な技術を手にしないと不可能と言えそうです。