醫師(いし)として僧侶(そうりょ)として
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◉:長崎県出身(ながさきけんしゅっしん)の僧侶(そうりょ)、宮村通典(みやむらみちのり)さん。震災後(しんさいご)、巖手県大槌町(いわてけんおおつちちょう)に移(うつ)り住(す)み、東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)の犠牲者(ぎせいしゃ)を供養(くよう)しています。
宮村:亡(な)くなった方々(かたがた)は皆(みな)さん、おそらく無念(むねん)な気持(きも)ち。そういう人(ひと)たちに対(たい)してのご回向(えこう)というものが、非常(ひじょう)に大事(だいじ)なんですね。
◉:宮村(みやむら)さんは、同(おな)じ日蓮宗(にちれんしゅう)を信仰(しんこう)していた宮沢賢治(みやざわけんじ)の作品(さくひん)に長年親(ながねんした)しみを感(かん)じてきました。
宮村:毎朝(まいあさ)、読(よ)んでいるんです。
◉:被災地(ひさいち)に移(うつ)り住(す)む決斷(けつだん)をしたきっかけは、尊敬(そんけい)する宮沢賢治(みやざわけんじ)の「雨(あめ)ニモマケズ()」でした。その一節(ひとふし)に背中(せなか)を押(お)されたのです。
宮村:東(ひがし)に病気(びょうき)のこどもあれば、行(い)って看病(かんびょう)してやり…。()この「行(い)く」という言葉(ことば)ですね。これがやはり「行動(こうどう)を起(お)こせ」という意味(いみ)に僕(ぼく)は啟示(けいじ)を受(う)けた。
◉:15()年(ねん)ほど前(まえ)に仏門(ぶつもん)に入(はい)った宮村(みやむら)さんですが、実(じつ)はもう一(ひと)つの顔(かお)があります。現役(げんえき)の醫師(いし)です。
◉:長崎(ながさき)の病院(びょういん)の副院長(ふくいんちょう)を辭(や)め、大槌町(おおつちちょう)の病院(びょういん)に勤務(きんむ)しています。専門(せんもん)は心療內科(しんりょうないか)。被災者(ひさいしゃ)の心(こころ)と向(む)き合(あ)おうとしています。
阪神淡路大震災(はんしんあわじだいしんさい)の後悔(こうかい)
◉:宮村(みやむら)さんが被災地(ひさいち)に來(き)たのは、醫師(いし)として、ある後悔(こうかい)を抱(かか)えていたからでもありました。平成(へいせい)7()年(ねん)の阪神淡路大震災(はんしんあわじだいしんさい)。周(まわ)りの醫師(いし)が次々(つぎつぎ)と支援(しえん)に向(む)かう中(なか)、宮村(みやむら)さんは行(い)くことができませんでした。當時(とうじ)、開業(かいぎょう)していた診療所(しんりょうじょ)を空(あ)けるわけにはいかなかったからです。
宮村:やはり行動(こうどう)を取(と)れなかったという後悔(こうかい)の念(ねん)は、どこかにあったと思(おも)います。
◉:そうした中(なか)、東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)が起(お)こります。宮村(みやむら)さんは今度(こんど)こそ支援(しえん)しようと、移住(いじゅう)を決斷(けつだん)しました。
宮村:長期戦(ちょうきせん)になると最初(さいしょ)から思(おも)った。こちらに住居(じゅうきょ)を移(うつ)すということは、來(き)てすぐ帰(かえ)るんじゃなくて、「皆(みな)さんに寄り添(そ)いますよ」という大(おお)きなメッセ()ージになると思(おも)ったものですから。
大槌(おおつち)の人々(ひとびと)を見守(みまも)る
◉:患者(かんじゃ)たちに受(う)け入(い)れられてきたと感(かん)じたのは、仮設(かせつ)の病院(びょういん)に勤(つと)め始(はじ)めて3()年(ねん)がたったころでした。
宮村:お変(か)わりなかったですか。
患者:だんだんひからびてきていますね、體(からだ)が。
宮村:水分(すいぶん)、しっかりとってね。
患者:(宮村先生(みやむらせんせい)は)最高(さいこう)にいい。細(こま)かいところまで気(き)がついてくれて。できれば死脈(しみゃく)までとってもらいたい。
宮村:やっと仲間(なかま)に入(い)れていただいて、心(こころ)のケア()まで踏み込(こ)めるようになってきたという気持(きも)ちではあります。
◉:平日(へいじつ)は、病院(びょういん)で醫師(いし)として働(はたら)く宮村(みやむら)さん。週末(しゅうまつ)に足(あし)を運(はこ)ぶ所(ところ)があります。向(む)かったのはプレハブ()の建物(たてもの)。津波(つなみ)で本堂(ほんどう)が流(なが)された仮設(かせつ)のお寺(てら)です。身元(みもと)がわからない遺骨(いこつ)も納(おさ)められているこのお寺(てら)。無念(むねん)の思(おも)いで亡(な)くなった犠牲者(ぎせいしゃ)の供養(くよう)を宮村(みやむら)さんは続(つづ)けています。
◉:復興(ふっこう)が進(すす)む大槌町(おおつちちょう)。醫師(いし)として僧侶(そうりょ)として、これからもこの町(まち)で必要(ひつよう)とされる存在(そんざい)になりたいと宮村(みやむら)さんは強(つよ)く思(おも)っています。
宮村:皆(みな)さんともかなり親(した)しくしてもらえるようになったし、(スーパー)マーケットで、すれ違(ちが)っても「先生(せんせい)、こんにちは」とか、あいさつしてもらえるようになったし。少(すこ)し「大槌人(おおつちじん)」になりかけているところがあります。
+++單詞釋義+++
供養 · くよう:(給佛或死者)上供。做佛事、祭奠
無念 · むねん:懊悔,遺憾。(佛)萬念俱空
回向 · えこう:(為死者)祈冥福
日蓮宗 · にちれんしゅう:日蓮宗(教派)
決斷 · けつだ:ん果斷。決斷。當機立斷
雨ニモマケズ · 雨にも負けず:是日本詩人、童話作家宮澤賢治代表作《不畏風雨》
向き合う · むきあう:相對,相向,面對面
寄り添う · よりそう:挨近,貼近
プレハブ · prefab :〈建〉預製裝配化,工廠預製
死脈 · しみゃく:死脈,絕脈
仮設 · ·かせつ:臨時設置,臨時設施
すれ違う · すれちがう:交會。插肩而過,錯過,走兩岔。
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